業績リスト

A01-002小林グループ

論文等 | 原著論文

2018

*Tokuro Hata, Raphaëlle Delagrange, Tomonori Arakawa, Sanghyun Lee, Richard Deblock, Hélène Bouchiat, Kensuke Kobayashi, and *Meydi Ferrier,
Enhanced shot noise of multiple Andreev reflections in a carbon nanotube quantum dot in SU(2) and SU(4) Kondo regimes,
Physical Review Letters, in press.

概要: 近藤効果と超伝導の共存が非平衡電流雑音に与える影響について、超伝導電極を有するカーボンナノチューブ量子ドットを用いて調査した。ドット内の電子数を制御するためのゲート電圧を変化させることによって、SU(2)近藤状態とSU(4)近藤状態の両方を、ユニタリ極限と呼ばれる理想的な状況で実現することに成功した。超伝導状態において、ファノ因子(雑音指数)が増大することを見出した。特に、低バイアス領域におけるショット雑音の発散は、多重アンドレーフ散乱に基づく既存の理論では説明できないことを示した。我々の実験結果は近藤効果がこの増大に関与していることを示す。

*Shota Norimoto, Shuji Nakamura, Yuma Okazaki, Tomonori Arakawa, Kenichi Asano, Koji Onomitsu, Kensuke Kobayashi, and Nobu-hisa Kaneko,,
Fano effect in the transport of an artificial molecule,
Physical Review B 97, 195313/1-8 (2018).

概要: ファノ効果はエネルギー離散状態と連続状態との間の干渉によって生じる普遍的な現象である。我々は、人工原子、すなわち、2次元電子系上で作製され、直列接続された二重量子ドット系において、ファノ効果を観測した。2つのドットとリード線との結合が小さい時には、電荷安定性状態図は通常の蜂の巣格子状になっている。それに対し、リード線とドットとの結合が大きい場合には、ファノ共鳴現象が伝導度に出現した。T行列を用いた数値シミュレーションによって、実験結果を再現することができた。この結果は、ファノ効果のメゾスコピック輸送における普遍性を例証するものである。 

Toru Yoshizawa, Eiki Iyoda, and Takahiro Sagawa,,
Numerical Large Deviation Analysis of the Eigenstate Thermalization Hypothesis,
Physical Review Letters 120, 200604/1-6 (2018).

概要: 孤立した量子系が熱化するメカニズムとして、固有状態熱化仮説(ETH)が注目を集めている。本研究では量子スピン系のハミルトニアンの数値厳密対角化によって、非熱的なエネルギー固有状態の割合を直接評価した。非熱的な状態は例外状態なので、これは一種の大偏差解析と言える。その結果として、非可積分系では強い形のETHが成立し、可積分系では成立しないという強い証拠を得た。とくに、非可積分項が少しでもあれば、可積分に非常に近い系でもETHが成り立つことを確かめた。

Eiki Iyoda and Takahiro Sagawa,,
Scrambling of quantum information in quantum many-body systems,
Physical Review A 97, 042330/1-9 (2018).

概要: 孤立した量子多体系において、量子情報が非局在化するプロセスはscramblingと呼ばれている。本研究では数値厳密対角化によって、量子スピン系のscramblingについて系統的に研究した。Scramblingの指標として、三体相互情報量を採用した。結果として、非可積分系と可積分系で大きな違いが見られないことを確かめた。また、disorderのないSachdev-Ye-Kitaev模型では、三体相互情報量の時間ゆらぎが大きくなることを見た。

Takumi Matsumoto and Takahiro Sagawa,,
Role of sufficient statistics in stochastic thermodynamics and its implication to sensory adaptation,
Physical Review E 97, 042103/1-11 (2018).

概要: 古典確率過程で記述される情報処理において、センサー容量と呼ばれる量が情報処理のある種の効率を特徴付けると考えられている。本研究では、情報の獲得が十分統計と呼ばれる性質をもつときに、センサー容量が最大値となることを一般的に証明した。また、生体情報処理(大腸菌の走化性) のモデルを用いてセンサー容量を計算し、生体情報処理ではエネルギーコストを犠牲にして高いセンサー容量を実現しているという示唆を得た。

Kay Brandner, Taro Hanazato, *Keiji Saito,
Thermodynamic Bounds on Precision in Ballistic Multi-Terminal Transport,
Physical Review Letters 120, 090601/1-5 (2018).

概要: 多端子電気伝導系を考え、近年提唱されたゆらぎとエントロピー生成率に関するトレードオフ関係式(熱力学的不確定性関係式)の考察を行った。我々の系では、時間反転対称性を破った系や量子系を扱えるという意味で、従来の研究を超えたあたらしい関係式 を見いだせる可能性を持っている。解析の結果、これまで知られていなかった新しい関係式を見出した。

Hiroki Taniguchi, Shota Suzuki, Tomonori Arakawa, Hiroyuki Yoshida, *Yasuhiro Niimi, and Kensuke Kobayashi,
Fabrication of thin films of two-dimensional triangular antiferromagnet Ag2CrO2 and their transport properties,
AIP Advances 8, 025010/1-6 (2018).

概要: 二次元三角格子を持つ反強磁性体Ag2CrO2を用いて、機械的剥離法により100nmの厚さの薄膜素子を作製し、室温から5Kの間で電気測定を行った。多結晶試料で知られているのと同様に、約25Kにおいて反強磁性秩序の形成による抵抗率の減少が観測された。薄膜素子の抵抗率は多結晶試料よりも一桁小さかったが、これは、微小な試料であるために結晶性が高かったことを意味する。この結果は、原子層サイズの反強磁性体のデバイス応用に向けた新しい展開をもたらすものである。

2017

Kazuya Kaneko, Eiki Iyoda, and Takahiro Sagawa,
Saturation of entropy production in quantum many-body systems,
Physical Review E 96, 062148/1-10 (2017).

概要: 我々は孤立した量子多体系におけるエントロピー生成の長時間領域での振る舞いを研究した。まず、初期状態が純粋状態であっても、エントロピーが長時間領域で飽和することを証明した。次に、固有状態熱化仮説に基づいて、エントロピーの飽和値が非負であることを示した。また厳密対角化の数値計算によって我々の理論を検証した。

Shuji Tamaki, Makiko Sasada, and *Keiji Saito,
Heat Transport via Low-Dimensional Systems with Broken Time-Reversal Symmetry,
Physical Review Letters 119, 110602 (2017).

概要: 我々は、時間反転対称性がやぶれた系を介した異常熱輸送を考えた。 横方向の自由度を伴う1次元荷電粒子系に磁場を印加すると、標準的な運動量保存は満足されないことが分かる。 この効果に焦点を当てるために、可解モデルを導入した。それにより、 新しい指数が異常輸送現象に現れ得ることを厳密に証明した。

*Eiki Iyoda, Kazuya Kaneko, Takahiro Sagawa,,
Fluctuation Theorem for Many-Body Pure Quantum States,
Physical Review Letters 119, 100601/1-6 (2017).

概要: 熱力学第二法則とゆらぎの定理を、量子多体系の純粋状態について証明した。全系はユニタリ発展に従うと仮定し、熱浴の初期状態はエネルギー固有状態とした。これは、熱浴の初期状態をカノニカル分布にとることが本質的であった従来の研究と大きく異なるものである。証明の際に用いた重要な概念は、単一のエネルギー固有状態も熱平衡状態を表しうるという固有状態熱化仮説(ETH)と、量子多体系における情報伝播速度の上限を定めるLieb-Robinson限界である。この研究によって、量子力学だけから熱力学第二法則が創発する一般的なシナリオを明らかにした。

*Yuma Fujimoto, Takahiro Sagawa, Kunihiko Kaneko,,
Hierarchical prisoner’s dilemma in hierarchical game for resource competition,
New Journal of Physics 19, 073008/1-12 (2017).

概要: 複数の個人と複数の集団が競合している状況で、新しいゲーム理論を定式化した。これは階層性をもつように一般化された公共財ゲームとみなすことができる。そのナッシュ均衡を解析した結果、階層的な囚人のジレンマなどの新奇な現象が見られることが明らかになった。

*Hiroki Yamaguchi, Kyogo Kawaguchi, Takahiro Sagawa,,
Dynamical crossover in a stochastic model of cell fate decision,
Phyical Review E 96, 012401/1-8 (2017).

概要: 表皮などにおける細胞分化のダイナミクスを、非平衡統計力学に基づく確率モデルによって理論的に分析した。とくに、自己複製するランジュバン方程式に基づく新しいモデルを提案した。それによって、従来研究されてきたCritical birth-death processやvoter modelといった確率モデルを、統一的に理解できるようになった。また数値計算によって、分化細胞数の統計が時間とともに異なる分布の間をクロスオーバーすることを明らかにした。

*Meydi Ferrier, Tomonori Arakawa, Tokuro Hata, Ryo Fujiwara, Raphaëlle Delagrange, Richard Deblock, Yoshimichi Teratani, Rui Sakano, Akira Oguri, *Kensuke Kobayashi,
Quantum fluctuations along symmetry crossover in a Kondo-correlated quantum dot,
Physical Review Letters 118, 196803/1-5 (2017).

概要: 我々は、カーボンナノチューブを用いて作製した人工原子における近藤効果の研究を行った。ナノチューブ内の電子は、通常のスピン自由度と軌道の自由度を持つ。その結果、SU(4)という近藤状態をとることが可能となる。我々は、人工原子内に電子が2個ある場合に、理想的なSU(4)近藤状態を実現した。磁場印加により、電子スピンが磁場を感じることによって、自由度の数が4から2へと変化し、SU(2)近藤状態に変化する。我々は、この移り変わりの様子を電気伝導測定および電流雑音測定によって精密に調べ、SU(4)近藤状態とSU(2)近藤状態のそれぞれについて、有効電荷を高精度で検出した。さらに、この有効電荷の値から、量子ゆらぎの指標である「ウィルソン比」を求めることができ、対称性の変化にともなって、連続的に量子ゆらぎが変化することを実証した。この有効電荷とウィルソン比は、最新の理論の予言と高い精度で一致することから、理論の検証に成功した。 

*Shuichi Iwakiri, Yasuhiro Niimi, Kensuke Kobayashi,
Dynamics of pure spin current in high-frequency quantum regime,
Applied Physics Express 10, 053001/1-4 (2017).

概要: 純スピン流はスピントロニクス素子の制御における強力なツールとなるため、そのダイナミクスの理解は重要な課題である。メゾスコピックの輸送理論を利用することによって、我々は、スピン蓄積によって駆動されたスピン流の高周波量子領域での振る舞いを調べた。高周波領域では、トンネル障壁を通過する電流の中に、周波数に依存する量子雑音が生じる。我々は、その自己相関関数に、パウリの排他律に由来する振動成分が現れることを見出した。

2016

*Shumpei Yamamoto, Sosuke Ito, Naoto Shiraishi, and Takahiro Sagawa,
Linear irreversible thermodynamics and Onsager reciprocity for information-driven engines,
Phyical Review E 94, 052121/1-11 (2016).

概要: 我々は線形非平衡熱力学の枠組みを、広いクラスの自律的情報処理について定式化した。とくに、オンサーガ相反関係が「情報流」「情報アフィニティ」に対しても成立することを証明した。応用として、最大パワー(仕事率)のときの情報熱力学効率の普遍的な上限を導いた。この結果は線形非平衡熱力学においても情報流が重要な役割を果たすことを示している。

Naoto Shiraishi, Keiji Saito and Hal Tasaki,
Universal trade-off relation between power and efficiency for heat engines,
Physical Review Letters 117, 190601/1-5 (2016).

概要: 齊藤は、以前、オンサーガー行列を使った形式的な議論から、時間反転対称性を破る系ではカルノー効率と有限仕事率の共存が許される可能性があることを指摘した。それ以来、熱効率と仕事率に関するトレードオフ関係に関して多くの研究が様々な角度からなされた。今回齊藤らは、マルコフなダイナミクスにおいて、ほぼ全ての熱機関に当てはまる厳密なトレードオフ関係式を導出することに成功した[1]。この関係式によれば、時間反転対称性の有る無しに関わらずカルノー効率は仕事率の消失を意味する。これは、熱力学において時間軸での厳密な原理が与えられたことに相当する。

Takuma Akimoto, Eli Barkai, Keiji Saito,
Universal Fluctuations of Single-Particle Diffusivity in Quenched Environment,
Physical Review Letters 117, 180602 (2016).

概要: 細胞内のタンパク質の拡散などが近年観測され始め、動的な挙動が生体内でどのような役目を果たしているかが分かってきている。このような実験で分かってきていることは、細胞内ではポテンシャルが乱れおり、タンパク質の拡散が非常に遅いことである。このような状況を念頭に置き、クエンチされたランダムポテンシャル系における拡散現象を厳密に解析した。ポテンシャルの深さの分布をベキ分布にした場合、指数に応じて拡散が変わることを厳密に示した。また、拡散係数が一意的に決まらない領域が存在すること、そのときの拡散係数の分布関数が、逆レビー分布で与えられることを厳密に示した。

Yoshimichi Teratani, Rui Sakano, Ryo Fujiwara, Tokuro Hata, Tomonori Arakawa, Meydi Ferrier, Kensuke Kobayashi and Akira Oguri,
Field-enhanced Kondo correlations in a half-filling nanotube dot: evolution of an SU(n) Fermi-liquid fixed point,
Journal of the Physical Society of Japan 85, 094718/1-18 (2016).

概要: カーボン・ナノチューブから作られる量子ドットは4重縮退した一粒子準位を持っているため、様々な近藤状態が発現する舞台となっている。我々は、2電子フィリング(ハーフフィリング)において、磁場中でSU(2)近藤状態が生じることを理論的に研究したので報告する。

Johannes Stigloher, Martin Decker, Helmut S. Körner, Kenji Tanabe, Takahiro Moriyama, Takuya Taniguchi, Hiroshi Hata, Marco Madami, Gianluca Gubbiotti, Kensuke Kobayashi, Teruo Ono, and Christian H. Back,
Snell’s Law for Spin Waves,
Physical Review Letters 117, 037204/1-4 (2016).

概要: 入射波、反射波、屈折波をイメージングすることによって、パーマロイ薄膜におけるスピン波に対するスネルの法則を実験的に観測したことを報告する。我々は、異なる分散関係を持つ二つの媒質の間に設けられた段差を利用した。我々の発見は、スピン波を利用したマグのニクス等への応用が期待される。

Keiji Saito and Abhishek Dhar,
Waiting for rare entropic fluctuations,
Europhys Letters 114, 50004/1-6 (2016).

概要: 完全計数統計などでは、一定の観測時間内にどれくらいのエントロピーが発生するかを考える。このような観測は、メゾスケールの電気伝導実験では一定時間に電流を測ることでなされてきており、電流ゆらぎの定量的理解につながっている。これまでの計数統計を踏まえ、逆の過程を考えた。つまり、目標となるエントロピーを決め、それに至るまでの時間の分布を考えるのである。これはつまるところエントロピーに関するFirst Passage Time distribution に相当する。幾つかの例題を通して、普遍的な分布を求めた。

Tatsuya Muro, Yoshitaka Nishihara, Shota Norimoto, Meydi Ferrier, Tomonori Arakawa, *Kensuke Kobayashi, Thomas Ihn, Clemens Rösler, Klaus Ensslin, Christian Reichl, and Werner Wegscheider,
Finite shot noise and electron heating at quantized conductance in high-mobility quantum point contacts,
Physical Review B 93, 195411/1-7 (2016).

概要: 量子ポイントコンタクトにおける精密なショット雑音測定を報告する。極めて清浄な系であることと、非常に高精度な雑音測定が可能であるという二つの利点を活かして、ファノ因子を0.01の精度で精密に決定することができた。ショット雑音が理論予想よりも少しだけ増大するという現象を見出し、それが磁場印加によって消失することを議論した。量子ホール効果状態では、完全に消失することw確認した。これらの現象は、量子ポイントコンタクト周囲における電子加熱であるとして説明された。

*Aki Kutvonen, Takahiro Sagawa, and Tapio Ala-Nissila,
Thermodynamics of information exchange between two coupled quantum dots,
Phyical Review E 93, 032147/1-7 (2016).

概要: 二つの量子ドットを用いて、測定の熱力学を定量的に解析できるモデルを提案した。このモデルでは、外部パラメータの操作によって測定とその後のフィードバックが分離して行われる。これはシラード・エンジンに対応した設定になっている。我々はこのモデルにおいて、単一軌道のレベルでのエントロピー生成について解析し、とくに「積分型ゆらぎの定理」をエントロピー生成およびその粗視化に対して導いた。 

Takashi Mori, Tomotaka Kuwahara, Keiji Saito,
Rigorous bound on energy absorption and generic relaxation in periodically driven quantum systems,
Physical Review Letters 116, 120401/1-5 (2016).

概要: 量子孤立系で周期外場をかけたときの熱化の問題を考えた。我々の厳密なフローケ理論による解析から、エネルギー吸収が極端に抑制されることが証明された。その証明から、熱緩和に関する極めて一般的な描像が与えられた。

Shunpei Takeshita, Sadashige Matsuo, Takahiro Tanaka, Shu Nakaharai, Kazuhito Tsukagoshi, Takahiro Moriyama, Teruo Ono, Tomonori Arakawa, and Kensuke Kobayashi,
Anomalous behavior of 1/f noise in graphene near the charge neutrality point,
Applied Physics Letters 108, 103106/1-4 (2016).

概要: 単層グラフェン素子における電流雑音について、平衡状態から極端な非平衡状態まで調査した。その結果、1/f雑音のバイアス電圧依存性に異常な振る舞いを見出した。具体的には、電荷中性点近傍では、高バイアスではフーゲ則が成り立たないが、低バイアスでは成り立つ、というものである。この原因として、電子ホールパドルのでピニングが関わっている可能性を提案した。

Tomotaka Kuwahara, Takashi Mori, and Keiji Saito,
Floquet-Magnus Theory and Generic Transient Dynamics in Periodically Driven Many-Body Quantum Systems,
Annals of Physics, 96-124 (2016).

概要: 近年量子孤立系での熱化の問題が大事になってきている。量子孤立系に周期外場をかけるとどのような熱化が起こるだろうか?量子孤立系周期外場をかけたとき、一般に保存量がなくなり、系の状態はすべての状態を経巡るであろう。このような状態は温度が無限大の状況に相当する。この考え方はいわゆるEigenstate Themalization を周期外場に拡張したFloquet eigenstate thermalization と言われる。そこで、疑問は温度無限大に移行する熱化のタイムスケールはどうなるのか?という問題である。この論文ではこの問題を考えるための基礎理論を構築した。とくにフローケマグナス展開に着目して、一般論を構築した。 【齊藤圭司(議論、論文執筆)】

*Kenji Tanabe, Ryo Matsumoto, Jun-Ichiro Ohe, Shuichi Murakami, Takahiro Moriyama, Daichi Chiba, Kensuke Kobayashi and Teruo Ono,
Observation of magnon Hall-like effect for sample-edge scattering in unsaturated YIG,
physica status solidi (b) 253, 783-787 (2016).

概要: 我々はイットリウム鉄ガーネット結晶の試料端においてマグノンの散乱によって起因するマグノンホール効果に類似した現象を観測した。本研究は、室温において赤外線温度測定装置を用いて行われた実験である。磁化が飽和していない状態においてマグノンが試料端に打ち込まれた時、横方向に大きな温度勾配を観測した。これは、マグノンホール効果による可能性がある。意外なことに、我々は、この効果が、ベリー曲率によるマグノンホール効果が理論的に予想されている飽和状態の時よりも、飽和していないときの方が大きいことを見出した。

Naoto Shiraishi, Takumi Matsumoto, and Takahiro Sagawa,
Measurement-feedback formalism meets information reservoirs,
New Journal of Physics 18, 013044/1-8 (2016).

概要: これまでの研究では、情報熱力学には2つの異なった定式化が知られていた。ひとつは測定・フィードバックのフォーマリズムで、もう一つは情報浴のフォーマリズムである。本研究では両者が統一的に定式化できることを示し、従来よりも強い第二法則の不等式を導いた。 

*Tokuro Hata, Tomonori Arakawa, Kensaku Chida, Sadashige Matsuo, and Kensuke Kobayashi,
Giant Fano factor and bistability in a Corbino disk in the quantum Hall effect breakdown regime,
Journal of Physics: Condensed Matter 28, 055801/1-7 (2016).

概要: コルビノ円板型の試料において量子ホール効果ブレークダウン現象にともなう雑音測定を行った。サイズの異なる2種類のコルビノ円板型試料を測定することにより、コンタクト間の距離が増大するとファノ因子が増大することを見出したが、これは、ブートストラップ型電子加熱モデルに合致する。ファノ因子の温度依存性の測定も行った。さらに、非線形性が強い領域では、負性抵抗と発振現象を観測した。この現象と、ツェナートンネルとの関わりについて論じた。

*Meydi Ferrier, Tomonori Arakawa, Tokuro Hata, Ryo Fujiwara, Raphaëlle Delagrange, Raphael Weil, Richard Deblock, Rui Sakano, Akira Oguri, and *Kensuke Kobayashi,
Universality of non-equilibrium fluctuations in strongly correlated quantum liquids,
Nature Physics 12, 230-235 (2015).

概要: 多数の粒子が互いに量子力学的に影響を及ぼしあうとき、粒子一個の性質からは全く想像できないような奇妙な振る舞いを示すことがある。このような現象を量子多体現象と呼び、そのような現象を示す粒子の集団のことを量子液体と呼ぶ 。本研究は、典型的な量子多体現象である近藤効果によって形成される量子液体を用いて行われた。微細加工技術を用いて作製された人工原子中の量子液体における電流ゆらぎを、世界最高水準の測定技術により精密に測定することによって、理論的に予測されてきた非平衡状態にある量子液体の挙動を詳細に明らかにすることに成功した。量子多体現象は、長年にわたって物理学の中心的な課題の一つであるが、極めて高い精度で理論の検証に成功した本成果は、物質の新しい性質・機能を見いだすなど、今後の研究の発展に貢献していくものと期待される。

2015

*Sadashige Matsuo, Shunpei Takeshita, Takahiro Tanaka, Shu Nakaharai, Kazuhito Tsukagoshi, Takahiro Moriyama, Teruo Ono, Kensuke Kobayashi,
Edge mixing dynamics in graphene p–n junctions in the quantum Hall regime,
Nature Communications 6, 8066/1-6 (2015).

概要: 量子ホール状態にあるグラフェンpn接合では、量子ホール状態が完全に混じりあう結果、接合の両側への電子の分配過程の存在が推察されていたが、この電子分配過程を直接的に実証した報告はなかった。我々は、ゲート電極を組み合わせることによりpn接合を形成可能なグラフェン試料を作製し、低温強磁場下において高精度な電流ゆらぎ測定を行った。その結果、量子ホール状態でpn接合のある場合にはショット雑音が発生するのに対し、pn接合のない場合にはショット雑音が発生しないことを明らかにした。また、観測されたショット雑音の大きさが、理論予想とほぼ一致することも実証した。これらの結果は、量子ホール状態にあるpn接合が電子を分配するということを初めて直接的に示した成果であり、グラフェンpn接合で起こる電子分配の微視的特性を初めて定量的に確立したものである。

Kay Brandner, Keiji Saito, and Udo Seifert ,
Thermodynamics of Micro- and Nano-Systems Driven by Periodic Temperature Variations,
Physical Review X 5, 031019 (2015).

概要: この論文では、ゆらぐ熱環境における熱機関を考えるための線形応答理論の定式化を行った。この定式化によって、マルコフなダイナミクスに従う一般的な系で、効率と仕事率の関係を系統的に探ることができるようになった。その結果、一般にはオンサーガー係数は非対称になる。特に、仕事率の上限を効率の言葉で書くことができ、効率がカルノー効率に到達すると仕事率が消失することがわかる。 【齊藤圭司(研究および論文執筆)】

*Sadashige Matsuo, Shu Nakaharai, Katsuyoshi Komatsu, Kazuhito Tsukagoshi, Takahiro Moriyama, Teruo Ono, and Kensuke Kobayashi,
Parity effect of bipolar quantum Hall edge transport around graphene antidots,
Scientific Reports 5, 11723/1-7 (2015).

概要: 物理学では、整数値を取る物理量の偶奇性に依存して、物理現象が質的に全く異なる振る舞いを示すことがある。このような物理量の偶奇性という抽象的な概念に基づいた現象の分類はパリティ効果と呼ばれ、物理現象の理解に極めて重要な役割を果たす。我々は、グラフェン素子上に形成したpn接合における量子ホール端状態の電気伝導について考察し、伝導度の振る舞いが、pn 接合の数が偶数であるか奇数であるかによって決まってしまうこと(=パリティ効果)を理論的に見いだし、実験的に検証することに成功した。この成果は、グラフェンの pn 接合における量子ホール状態を用いて、様々な電子の干渉計(量子干渉素子)を実現できる可能性を示唆する。

*Sosuke Ito, Takahiro Sagawa,
Maxwell’s demon in biochemical signal transduction with feedback loop,
Nature Communications 6, 7498 (2015).

概要: 近年、情報理論と熱力学を融合させた「情報熱力学」が理論と実験の両面から注目を集めている。本研究で我々は、情報熱力学を生体内のシグナル伝達の解析に応用した。とくにフィードバックループがあるシグナル伝達の例として、大腸菌の走化性の適応モデルを解析した。我々は、情報熱力学の第二法則を応用することにより、大腸菌の適応の外界からのノイズに対する頑健性と、フィードバックループ内を流れる情報流の間の定量的な関係を発見した。とくに、transfer entropyと呼ばれる情報量が、適応度の上限を与えることが明らかになった。さらに我々の数値実験結果から、大腸菌の適応ダイナミクスは、通常の熱機関としては非効率(散逸的)だが、情報熱機関としては効率的であることが明らかになった。我々の結果は、生体内の情報処理を情報熱力学の観点から解析する第一歩になると考えられる。

Kiyoshi Kanazawa, Tomohiko G. Sano, Takahiro Sagawa, and Hisao Hayakawa,
Asymptotic Derivation of Langevin-like Equation with Non-Gaussian Noise and Its Analytical Solution,
Journal of Statistical Physics 160, 1294-1335 (2015).

概要: 複数の非ガウスノイズで駆動される幅広いクラスの確率過程に対して、非線形なランジュバン型の方程式を漸近論によって導出した。我々はさらに、定常分布の漸近形の公式をフルオーダーで導出した。具体例として、得た公式をクーロン摩擦のある粉体モーターに適用し、数値シミュレーションの結果と良く一致することを確かめた。

*Naoto Shiraishi, Sosuke Ito, Kyogo Kawaguchi, and Takahiro Sagawa,
Role of measurement-feedback separation in autonomous Maxwell’s demons,
New Journal of Physics 17, 045012/1-11 (2015).

概要: 自律的マクスウェルデーモンにおける、測定とフィードバックの役割を明らかにした。とくに、自律的ではあるが測定とフィードバックのタイミングが分離している新しいモデルを提案し、それと従来知られていた分離していないモデルの比較を行った。その結果、後者が前者の極限として得られることが、ゆらぎの定理のレベルで明らかになった。 

*Kiyoshi Kanazawa, Tomohiko G. Sano, Takahiro Sagawa, and Hisao Hayakawa,
Minimal Model of Stochastic Athermal Systems: Origin of Non-Gaussian Noise,
Physical Review Letters 114, 090601/1-10 (2015).

概要: 非ガウスノイズに駆動されるランジュバン方程式を、よりミクロなモデルから導出した。これはvan Kampenのシステムサイズ展開の方法を拡張したものである。さらに、解析的に解けるモデルについて、非熱的な環境の情報を推定するための公式を導いた。

*Juan M. R. Parrondo, Jordan M. Horowitz, and Takahiro Sagawa,
Thermodynamics of information,
Nature Physics 11, 131-139 (2015).

概要: 情報熱力学の近年の発展についてのレビューを行った。とくに、近年はじめて実現されたマクスウェルのデーモンの実験についてのレビューを行い、また近年整備された情報熱力学の一般的な理論についての包括的な解説も行った。

*Naoto Shiraishi and Takahiro Sagawa,
Fluctuation theorem for partially masked nonequilibrium dynamics,
Physical Review E 91, 012130/1-7 (2015).

概要: 部分的な遷移しか観測できないようなマルコフ過程について、観測可能な遷移だけに対応した「部分エントロピー生成」の概念を導入し、それに対応する新しいゆらぎの定理を導出した。その特別な場合として、自律的なマクスウェルのデーモンが満たすゆらぎの定理が明らかになった。

*Tomonori Arakawa, Junichi Shiogai, Mariusz Ciorga, Martin Utz, Dieter Schuh, Makoto Kohda, Junsaku Nitta, Dominique Bougeard, Dieter Weiss, Teruo Ono, and Kensuke Kobayashi,
Shot noise induced by nonequilibrium spin accumulation,
Physical Review Letters 114, 016601/1-5 (2015).

概要: スピン流は電流に替わる新たな物理量として注目されており、近年、その生成・検出手法が盛んに研究されている。我々は、強磁性半導体(Ga,Mn)Asと非磁性半導体GaAsからなるトンネル接合にスピン流を印加し、電流ゆらぎ測定を行った。トンネル接合に流れるスピン流と電流を独立に制御することで、ショット雑音に含まれる電流とスピン流の寄与を分離して評価することによって、スピン流の絶対値が求まると同時に、ショット雑音とスピン流の比例関係を実証した。 【Phys. Rev. Lett.誌「Editors' Suggestion」(編集部による注目論文)に選出。】

2014

*Takahiro Tanaka, Tomonori Arakawa, Masahiro Maeda, Kensuke Kobayashi, Yoshitaka Nishihara, Teruo Ono, Takayuki Nozaki, Akio Fukushima, and Shinji Yuasa,
Leak current estimated from the shot noise in magnetic tunneling junctions,
Applied Physics Letters 105, 042405/1-4 (2014).

概要: 我々はMgOの膜厚を系統的に変化させたトンネル磁気抵抗素子におけるショット雑音を測定しファノ因子を見積もった。その結果、膜厚が薄くなるとファノ因子が1から減少し反平行においてより小さくなることを発見した。この現象は、リーク電流によって説明可能であり、ファノ因子からリーク電流の大きさを見積もることに成功した。

Suman G. Das, Abhishek Dhar, Keiji Saito, Christian B. Mendl, Herbert Spohn,
Numerical test of hydrodynamic fluctuation theory in the Fermi-Pasta-Ulam chain,
Physical Review E 90, 12124/1-11 (2014).

概要: 本新学術領域のテーマの一つでもある界面成長のダイナミクスに関係する仕事も行った。ただしここでは本物の界面成長ではなく、一次元熱輸送現象のダイナミクスの中に非自明にカーダー・パリージ・ザンの方程式が現れることを数値的に実証したのである。異常な輸送現象を示すフェルミ−パスタ−ウラム系において大規模数値計算をすることでこの予想を実証した。 【齊藤圭司(計算、論文執筆)】

*Kiyoshi Kanazawa, Takahiro Sagawa, and Hisao Hayakawa,
Energy pumping in electrical circuits under avalanche noise,
Physical Review E 90, 012115/1-8 (2014).

概要: 非熱的な環境下で非ガウスノイズに駆動される電気回路を外部から駆動したときに、取り出せるエネルギーについて議論した。ここで、サイクルで取り出せるエネルギーが正になりうることが、熱的な環境と大きな違いである。とくに、そのようなエネルギーがベリー位相として理解できることを示した。

*Jordan M. Horowitz and Takahiro Sagawa,
Equivalent Definitions of the Quantum Nonadiabatic Entropy Production,
Journal of Statistical Physics 156, 55-65 (2014).

概要: 非平衡定常系の熱力学において重要な概念である過剰エントロピー生成は、量子系に拡張する際にこれまで二つの定義が存在した。一方は量子軌跡を用いるもの、他方は相対エントロピーを用いるものである。この論文で我々は、両者が等価であることを証明した。

*Kensaku Chida, Tokuro Hata, Tomonori Arakawa, Sadashige Matsuo, Yoshitaka Nishihara, Takahiro Tanaka, Teruo Ono, and Kensuke Kobayashi,
Avalanche electron bunching in a Corbino disk in the quantum Hall effect breakdown regime,
Physical Review B 89, 235318/1-4 (2014).

概要: 量子ホール状態にあるコルビノ型円盤にて電流雑音測定を行い、量子ホール効果ブレークダウンに伴う電流雑音の増大を観測した。観測された電流雑音スペクトルは白色で、ファノ因子を見積もると1を上回った。これはコルビノ型円盤の中で雪崩的電子散乱が起こったことを意味する。

*Jonne V. Koski, Ville F. Maisi, Takahiro Sagawa, and Jukka P. Pekola,
Experimental Observation of the Role of Mutual Information in the Nonequilibrium Dynamics of a Maxwell Demon,
Physical Review Letters 113, 030601/1-5 (2014).

概要: 我々はフィードバック制御された系の仕事に関する一般化Jarzynski等式を実験的に検証した。フィードバック制御は単一電子箱にたいしてなされた。これはオリジナルのシラード・エンジンのアナロジーである。一般化Jarzynski等式においては、相互情報量と熱力学的仕事が対等に扱われている。我々の実験は、熱力学的不可逆過程における相互情報量の役割を検証した初めてのものである。

*Kyogo Kawaguchi, Shin-ichi Sasa, and Takahiro Sagawa,
Nonequilibrium Dissipation-free Transport in F1-ATPase and the Thermodynamic Role of Asymmetric Allosterism,
Biophysical Journal 106, 2450–2457 (2014).

概要: 可逆分子モーターであるF1-ATPaseについて、内部散逸がないという実験結果を説明する新しい理論モデルを提案した。これはF1の内部構造とアロステリック機構について示唆を与えるものであり、近い将来実験によって検証されることが期待される。 【佐々真一(議論と数値実験を行い、共同で論文を執筆した)】

*Kenji Tanabe, Ryo Matsumoto, Jun-ichiro Ohe, Shuichi Murakami, Takahiro Moriyama, Daichi Chiba, Kensuke Kobayashi, and Teruo Ono,
Real-time observation of Snell’s law for spin waves in a thin ferromagnetic film,
Applied Physics Express 7, 053001/1-4 (2014).

概要: 膜厚がステップ状に変化する強磁性細線中を伝播するスピン波を実時間測定した。光の伝播と媒質の屈折率の関係を記述するスネルの法則がスピン波の場合にも成り立つことを初めて実証した。本研究によってスピン波の波数を構造によって制御できることが確認されたことから、「マグノニクス」における新たな応用の可能性が開けることが期待される。

Julian Stark, Kay Brandner, Keiji Saito, and Udo Seifert,
A Classical Nernst Engine,
Physical Review Letters 112, 140601/1-5 (2014).

概要: 熱の流入が電流に変換されるいわゆる熱電効果を考察した。とくに磁場などで時間反転対称性を奪ったとき、熱効率と仕事率がどのような関係にあるかに焦点をあてた。線形応答の解析では、熱力学第2法則はカルノー効率と有限の仕事率の共存を許してしまう。この共存は直感に反するので、自然界には熱力学第2法則よりも強い拘束があることが、すでに予想されていた。このような背景の中、磁場が存在してはじめて生じるネルンスト効果に注目し、電子間に相互作用がない状況下での厳密な熱効率の上限を導いた。 【齊藤圭司(テーマの提案、計算)、Editors' Suggestion に選ばれた。】

*Takahiro Sagawa,
Thermodynamic and Logical Reversibilities Revisited,
Journal of Statistical Mechanics, 1-33 (2014).

概要: 熱力学的可逆性と論理的可逆性の概念は、情報と熱力学を結びつける鍵となるものであると考えられてきた。この論文では、両者の関係についての従来の混乱を整理した。さらに、情報熱力学についての包括的な理論体系についてレビューした。

2013

*Takahiro Sagawa and Masahito Ueda,
Role of mutual information in entropy production under information exchanges,
New Journal of Physics 15, 125012/1-23 (2013).

概要: 測定とフィードバックをはじめとする情報処理の熱力学について、一般的な理論体系を構築した。とくに、これまでの論文では明確にしていなかったメモリの構造などの点も注意深く議論し、情報処理の際のエントロピー生成の概念を明確にした。

*Jung Jun Park, Kang-Hwan Kim, Takahiro Sagawa, and Sang Wook Kim,
Heat Engine Driven by Purely Quantum Information,
Physical Review Letters 111, 230402/1-5 (2013).

概要: 量子ディスコートと呼ばれる量子情報量を使って、仕事を取り出すことができる熱機関の理論的提案を、沙川らが行った。これまでも量子ディスコードと熱機関の関係は議論されていたが、本研究は、統計力学に基づいた厳密な表式を得て、かつ具体的なモデルを提案した初めてのものである。

*Keiji Saito and Takeo Kato,
Kondo signature in heat transfer via a local two-state system,
Physical Review Letters 111, 214301/1-4 (2013).

概要: 2準位系を介して量子的な熱が流れる場合を研究した。特に近藤効果が生じる低温領域に注目する。形式的に厳密な熱伝導度の表式を導出しそれを線形応答領域で解析した。その結果熱の流れは、近藤温度より高温か低温かで振る舞いが区別されることが分かった。それらの具体的な表式も導出した。

*Tatsuro Yuge, Takahiro Sagawa, Ayumu Sugita, and Hisao Hayakawa,
Geometrical Excess Entropy Production in Nonequilibrium Quantum Systems,
Journal of Statistical Physics 153, 412-441 (2013).

概要: 量子系を外部から周期的に操作した時に、ベリー位相に類似の効果で非平衡カレントが発生することが知られている。沙川らはこれを非平衡定常熱力学に応用し、量子系における非平衡エントロピーの幾何学的な表式を得た。

Sosuke Ito and Takahiro Sagawa,
Information Thermodynamics on Causal Networks,
Physical Review Letters 111, 180603/1-6 (2013).

概要: 複数の非平衡系が複雑に相互作用して情報交換をしているプロセスについて、ゆらぎの定理と熱力学第二法則の一般化を導出した。このような状況を特徴づけるためにベイジアンネットワークと呼ばれる概念を用いた。そして、その一般化においてはtransfer entropyと呼ばれる情報の流れを表す量が重要な役割を果たすことを明らかにした。

*Sang Wook Kim, Kang-Hwan Kim, Takahiro Sagawa, Simone De Liberato, and Masahito Ueda,
Kim et al. Reply:,
Physical Review Letters 111, 188902/1 (2013).

概要: 量子シラードエンジンから取り出せる仕事量について、我々のかつての研究に対するPleschらの批判が妥当でないことを示した。とくに、我々のプロトコルにおいては、熱力学第二法則の上限すべてに対応する仕事を取り出すことはできないが、これは物理的に自然であることを示した。

*Sadashige Matsuo, Kensaku Chida, Daichi Chiba, Teruo Ono, Keith Slevin, Kensuke Kobayashi, Tomi Ohtsuki, Cui-Zu Chang, Ke He, Xu-Cun Ma, and Qi-Kun Xue,
Experimental Proof of Universal Conductance Fluctuation in Quasi-1D Epitaxial Bi2Se3 Wires,
Physical Review B 88, 155438/1-8 (2013).

概要: トポロジカル絶縁体の母体物質であるBi2Se3を量子細線に加工した試料を用いて、伝導度ゆらぎをプローブとすることによって量子コヒーレントな伝導を研究した。細線長さを長くしていくと、伝導度ゆらぎが増大して行くことを見いだした。この様子は、コヒーレンス長さ、熱拡散長、細線長さに良くスケールし、普遍的伝導ゆらぎの理論に合致する振る舞いであった。この研究は、普遍的伝導度ゆらぎの理論を、スピン軌道相互作用が強い系において定量的に検証した初めての例となっている。

*Tomonori Arakawa, Yoshitaka Nishihara, Masahiro Maeda, Shota Norimoto, and Kensuke Kobayashi,
Cryogenic amplifier for shot noise measurement at 20 mK,
Applied Physics Letters 103, 172104/1-4 (2013).

概要: 20mKという極低温下におけるメゾスコピック伝導体におけるショット雑音測定システムを構築したので報告する。高電子移動度トランジスタを用いた低温動作可能な増幅器を自作することにより、20mKにおける精度が10^-29 A^2/Hzという高精度の電流ゆらぎの測定に成功した。

*Jonne V. Koski, Takahiro Sagawa, O-P. Saira, Y. Yoon, A. Kutvonen, P. Solinas, M. Möttönen, T. Ala-Nissila, and Jukka P. Pekola,
Distribution of entropy production in a single-electron box,
Nature Physics 9, 644-648 (2013).

概要: フィンランドのグループとの共同研究により、異なる温度の二つの熱浴に接する単一電子箱において、ゆらぎの定理の実験的検証を行った。その際、観測される軌道から見積もれる粗視化されたエントロピー生成と、発熱から定義される通常のエントロピー生成の関係を詳しく解析した。

*Jordan M. Horowitz, Takahiro Sagawa, and Juan M. R. Parrondo,
Imitating Chemical Motors with Optimal Information Motors,
Physical Review Letters 111, 010602/1-5 (2013).

概要: 化学モーターと同じ動きをする可逆な情報モーターのモデルを提案した。両者のダイナミクスは同じであるが、エントロピー生成が大きく異なる振る舞いをすることを見出した。とくに、情報モーターは有限速度で動いているときにエントロピー生成が最小値を取ることを見出した。

*Kiyoshi Kanazawa, Takahiro Sagawa, and Hisao Hayakawa,
Heat conduction induced by non-Gaussian athermal fluctuations,
Physical Review E 87, 052124/1-10 (2013).

概要: 非ガウスノイズによって駆動される非熱的な環境が二つブラウン粒子を介して接触しているとき、ノイズの非ガウス性によって駆動されるエネルギー流があることを発見した。このエネルギー流の大きさはノイズの分散だけでは特徴づけることができず、その意味で熱力学第ゼロ法則が成立していないことを明らかにした。



論文等 | 総説解説

2018

*小林研介,
雑音は何を教えてくれるのか? ―メゾスコピック系における量子輸送と雑音―,
Netsu Sokutei 45, 16-22 (2018).

概要: この総説は、メゾスコピック系における雑音(ゆらぎ)から何がわかるかを説明するものである。 まず、電気回路における雑音について紹介する。その際、ブラウン運動と揺動散逸関係という観点から、雑音(ゆらぎ)研究の歴史的重要性を強調したい。 第二に、微細加工技術を用いて金属または半導体上に作製される非常に小さい電子回路(典型的にはミクロンまたはナノメートルサイズ)であるメゾスコピック系について紹介する。そのような系を研究することの最大の利点は、量子力学が重要な役割を果たす長さ・エネルギースケールにおいて精密な実験を行うことができることにある。 最後に、メゾスコピック系における雑音研究の2つの例、すなわち、ゆらぎの定理の実験的検証と、強相関系におけるショット雑音について議論する。私たちの試みは、メゾスコピック量子統計物理学と非平衡量子多体物理学の研究分野に新たな光を当てるものである。

2017

*小林研介,
ゆらぎで探る量子液体,
パリティ 32, 16-21 (2017).

概要: 極小の電子回路のなかに,人工的に「量子液体」を生成することができる。量子液体に電子を衝突させ,散乱される様子を電気的に検出することによって,その本性を探る実験を行った。ゆらぎ測定によって、非平衡状態にある量子液体を定量的に研究できることを示す。

伊藤創祐,沙川貴大,
ネットワーク上の情報熱力学とその生体情報処理への応用,
日本物理学会誌 72(9), 658-658 (2017).

概要: 本稿では、ベイジアンネットワーク上に一般化された情報熱力学と、その生体情報処理への応用を解説した。前者については、移動エントロピーと呼ばれる情報量を含む新しい熱力学第二法則について解説した。後者については、大腸菌の化学反応ネットワー クに情報熱力学を適用して生体系の情報伝達のロバストさ(頑健 性)を定量化して、情報熱力学的な効率を議論した

*Giuliano Benenti, Giulio Casati, Keiji Saito, and Robert S. Whitney,
Fundamental aspects of steady-state conversion of heat to work at the nanoscale,
Physics Reports 694, 1-124 (2017).

概要: 近年、熱から仕事へ変換されるメカニズムの研究は、ナノテクノロジーにおいてとくに重要になって来ています。定常状態デバイスは、電子、光子、フォノンなどの定常状態の流れを通じて、仕事をとりだす。このレビューでは、これらの仕事への変換に関する最近の研究や解析方法を解説する。コヒーレントな量子輸送、磁場誘起効果、単一電子帯電効果など、メゾスコピックおよびナノスケールの物理学のさまざまな側面で解説する。

2016

松尾貞茂,小林研介,
グラフェンpn接合におけるパリティ効果の発見,
パリティ 31, 56-61 (2016).

概要: パリティとは、物理学のさまざまな場所に現れ、重要な意昧をもつ。われわれの研究のなかで、パリティという単語が重要な役割を果たすグラフェンの量子ホール状態の電子輸送現象におけるパリティ効果の発見と実証を議論する。

Kensuke Kobayashi,
What can we learn from noise? — Mesoscopic nonequilibrium statistical physics —,
Proceedings of the Japan Academy, Series B 92(7), 204-221 (2016).

概要: メゾスコピック系における雑音からどのような情報を引き出すことができるかを解説する論文である。ゆらぎ(雑音)とは何か、それが物理系を考える際に基礎的な情報を与えることを議論した。さらに、ゆらぎの定理について議論し、量子系において実験的に検証した成果について紹介した。

2014

*小林研介,
熱力学第2法則と『ゆらぎの定理』の検証実験,
パリティ 29, 44-49 (2014).

概要: 巨視的な系で成立する熱力学第二法則を微視的に理解するにはどうしたら良いであろうか?この問いは100年以上にわたって大きな論争を巻き起こしてきた。1990年代に見いだされた「ゆらぎの定理」は、その解決の糸口となるかもしれない。現在の状況を、特に、実験的な側面から解説した。



国際会議発表

2018

Invited

*Takahiro Sagawa,
Thermodynamics of autonomous Maxwell’s demons,
Mini-Symposium “Nonequilibrium dynamics and information processing in biology” (Feb. 7-9, 2018), Okinawa, Japan.


2017

Invited

Keiji Saito,
Heat transport via low-dimensional systems with broken time-reversal symmetry,
Dynamics Days Central Asia: Focus on complex networks and statistical physics (Oct. 21-23, 2017), Bukhara, Uzbekistan.

Oral (contributed)

*Tokuro Hata, Meydi Ferrier, Sanghyun Lee, Tomonori Arakawa, Raphaelle Delagrange, Richard Deblock, Helene Bouchiat, and Kensuke Kobayashi,
Interplay between Kondo effect and superconductivity in a carbon nanotube quantum dot,
2017 International Conference on Solid State Devices and Materials (SSDM2017) (Sep. 20-22, 2017), Sendai, Japan.

Invited

*Takahiro Sagawa,
Scrambling of Quantum Information in Quantum Many-Body Systems,
The 3rd KIAS workshop on quantum information and thermodynamics (Sep. 17-20, 2017), Seoul, Korea.

*Keiji Saito,
Several tradeoff relations in thermodynamics,
The 3rd KIAS workshop on quantum information and thermodynamics (Sep.18-20, 2017), Seoul, Korea.

Oral (contributed)

*Takahiro Sagawa,
Thermodynamics of autonomous measurement and feedback,
TSRC Workshop “Information Engines at the Frontiers of Nanoscale Thermodynamics” (Aug. 3-11, 2017), Telluride, US.

Invited

*Kensuke Kobayashi,
Shot Noise Induced by Nonequilibrium Spin Accumulation,
Nanophysics, from Fundamentals to Applications: Reloaded (Jul. 30 – Aug. 5, 2017), Quy Nhon, Vietnam.

Poster

*Shuichi Iwakiri, Yasuhiro Niimi, Kensuke Kobayashi,
Dynamics of pure spin current in high-frequency quantum regime,
Nanophysics, from Fundamentals to Applications: Reloaded (Jul. 30 – Aug. 5, 2017), Quy Nhon, Vietnam.

Oral (contributed)

*Tokuro Hata, Meydi Ferrier, Sanghyun Lee, Tomonori Arakawa, Raphaelle Delagrange, Richard Deblock, Rui Sakano, Akira Oguri, Kensuke Kobayashi,
Shot noise of a superconductor / nanotube junction in the SU(2) and SU(4) Kondo regime,
Nanophysics, from Fundamentals to Applications: Reloaded (Jul. 30 – Aug. 5, 2017), Quy Nhon, Vietnam.

Invited

Keiji Saito,
Tradeoff-relation in work extraction : quantum coherence versus work precision,
Opne quantum systems (Jul. 17 – Aug. 4, 2017), Bengaluru, India.

Poster

*Masahiko Yokoi, Tomoya Kawamura, Tomonori Arakawa, Hiroshi Fukuyama, Yasuhiro Niimi, and Kensuke Kobayashi,
Electrical conduction of NbSe2 thin film modulated by surface acoustic wave,
SAWtrain Summer School: Physics and applications of GHz vibrations in semiconductors (Jul. 10-15, 2017), Corsica, France.

Invited

*Kensuke Kobayashi,
Fluctuations along Symmetry Crossover in a Kondo-correlated Quantum Dot,
Frontiers of Quantum and Mesoscopic Thermodynamics 2017 (FQMT’17) (Jul. 9–15, 2017), Prague, Czech Republic.

*Kensuke Kobayashi,
Spin-dependent Current Fluctuations in Mesoscopic Conductors,
9th International School and Conference on Spintronics and Quantum Information Technology (Spintech IX) (Jun. 4-8, 2017), Fukuoka, Japan.

Poster

*Shuichi Iwakiri, Yasuhiro Niimi, Kensuke Kobayashi,
Dynamics of pure spin current in high-frequency quantum regime,
Interdisciplinary Symposium for Up-and-coming Materials Scientists (ISUMS2017) (Jun. 8-9, 2017), Osaka, Japan.

*Masahiko Yokoi, Tomoya Kawamura, Tomonori Arakawa, Hiroshi Fukuyama, Yasuhiro Niimi, Kensuke Kobayashi,
Electrical conduction of NbSe2 thin film modulated by surface acoustic wave,
Interdisciplinary Symposium for Up-and-coming Materials Scientists (ISUMS2017) (Jun. 8-9, 2017), Osaka, Japan.

*Sanghyun Lee, Meydi Ferrier, Tokuro Hata, Tomonori Arakawa, and Kensuke Kobayashi,
Enhancement of thermal noise in a superconductor/carbon nanotube/superconductor junction,
Interdisciplinary Symposium for Up-and-coming Materials Scientists (ISUMS2017) (Jun. 8-9, 2017), Osaka, Japan.

*Hiroki Taniguchi, Kouta Yamagishi, Tomonori Arakawa, Toshifumi Taniguchi, Yasuhiro Niimi and Kensuke Kobayashi,
Extraordinary Hall effects and spin Hall effects in ternary alloy spin glasses,
9th International School and Conference on Spintronics and Quantum Information Technology (Spintech IX) (Jun. 4-8, 2017), Fukuoka, Japan.

Invited

*Takahiro Sagawa,
The demon in the cell: navigating in a noisy world,
BEYOND Center “Power of Information” Workshop (Apr. 18-20, 2017), Arizona, US.

*Kensuke Kobayashi,
Symmetry Control in the Kondo Effect,
Spintronics and Core-to-Core Workshop 2017 (Mar. 21-22, 2017), Osaka, Japan.

*Takahiro Sagawa,
Fluctuation theorem for pure quantum states,
The 5th Quantum Thermodynamics conference (Mar. 13-17, 2017), Oxford, UK.

*Takahiro Sagawa,
Fluctuation theorem for pure quantum states,
Entanglement in gravity, quantum information and condensed matter physics (Jan. 3-9, 2017), Shanghai, China and Taipei, Taiwan.


2016

Poster

*Masahiko Yokoi, Tomoya Kawamura, Tomonori Arakawa, Yasuhiro Niimi, and Kensuke Kobayashi,
Conduction properties of NbSe2 thin film exposed to microwave,
International School on Spintronics and Spin-Orbitronics (Dec.16-17, 2016), Fukuoka, Japan.

*Tomoya Kawamura, Tsukasa Kawakami, Paul Noel, Kosuke Hino, Shunpei Takeshita, Tomonori Arakawa, Yasuhiro Niimi, and Kensuke Kobayashi,
Spin injection into NbSe2 thin film,
International School on Spintronics and Spin-Orbitronics (Dec.16-17, 2016), Fukuoka, Japan.

*Hiroki Taniguchi, Kodai Yamagishi, Tomonori Arakawa, Toshifumi Taniguchi, Yasuhiro Niimi, and Kensuke Kobayashi,
Extraordinary Hall effect and spin Hall effect measurements in ternary alloy spin glasses,
International School on Spintronics and Spin-Orbitronics (Dec. 16-17, 2016), Fukuoka, Japan.

*Natsuki Kabeya, K. Iwashita, Hiroki Taniguchi, Tomoya Kawamura, Tomonori Arakawa, Yasuhiro Niimi, Kensuke Kobayashi, Xin-Xin Gong, Di Yue, and Xiao-Feng Jin,
Spin transport in superconducting Bi/Ni bilayers,
International School on Spintronics and Spin-Orbitronics (Dec.16-17, 2016), Fukuoka, Japan.

Invited

*Takahiro Sagawa,
Information flow and entropy production in biochemical signal transduction,
Workshop on Stochasticity and Fluctuations in Small Systems (Nov. 30- Dec. 2, 2016), Pohang, Korea.

*Takahiro Sagawa,
Thermodynamics of information and its application to biochemical signal transduction,
Santa Fe Workshop on Statistical Physics, Information Processing and Biology (Nov. 16-18, 2016), Santa Fe, New Mexico, US.

Oral (contributed)

*Tokuro Hata, Meydi Ferrier, Sanghyun Lee, Tomonori Arakawa, Rui Sakano, Akira Oguri, Raphaëlle Delagrange, Richard Deblock and Kensuke Kobayashi,
Shot noise of a superconductor/nanotube junction in the SU(2) and SU(4) Kondo regime,
628. Wilhelm and Else heraeus Seminar “Trends in Mesoscopic uperconductivity” (Nov.14-18, 2016), Bad Honnef, Germany.

Invited

Keiji Saito,
Universal trade-off relation between power and efficiency for heat to work conversion,
Thermal and electronic transport in nanostructures (Oct. 31- Nov. 11, 2016), Natal, Brasil.

Poster

*Tokuro Hata, Meydi Ferrier, Sanghyun Lee, Tomonori Arakawa, Rui Sakano, Akira Oguri, Raphaëlle Delagrange, Richard Deblock and Kensuke Kobayashi,
Shot noise of a superconductor/nanotube junction in the SU(2) and SU(4) Kondo regime,
Meso School 2016 Topological matter interactions and light-matter coupling (Oct.31- Nov.12, 2016), Corsica, France.

Invited

*Takahiro Sagawa,
Thermodynamics of information in many-body quantum systems,
Statistics, Quantum Information and Gravity (Sep. 27, 2016), Chiba, Japan.

*Takahiro Sagawa,
Fluctuation theorem for many-body pure quantum states,
KITPC program: Nonequilibrium processes at the nanoscale (Jul. 25- Sep. 2, 2016), Beijing, China.

*Takahiro Sagawa,
Maxwell’s demon in biochemical signal transduction,
International Workshop on Stochastic Thermodynamics and Active Matters (Aug. 15-16, 2016), Beijing, China.

Keiji Saito,
Trade-off relation between power and efficiency for heat engines,
Nonequilibrium processes at the nanoscale (Jul. 25- Sep. 2, 2016), Beijing, China.

Oral (contributed)

*Sadashige Matsuo, Shunpei Takeshita, Takahiro Tanaka, Shu Nakaharai, Kazuhito Tsukagoshi, Takahiro Moriyama, Teruo Ono, and Kensuke Kobayashi,
Edge mixing dynamics in a quantum Hall pn junction of graphene,
the 9th International Conference on Physics and Applications of Spin Phenomena in Solids (PASPS 9) (Aug.8-11, 2016), Kobe, Japan.

Poster

*Masahiko Yokoi, Tomonori Arakawa, Hikaru Watanabe, Shota Norimoto, Yasuhiro Niimi, and Kensuke Kobayashi,
Conducting property of quantum point contact exposed to surface acoustic wave,
the 9th International Conference on Physics and Applications of Spin Phenomena in Solids (PASPS 9) (Aug.8-11, 2016), Kobe, Japan.

*Tomoya Kawamura, Masahiro Maeda, Kosuke Hino, Paul Noël, Shunpei Takeshita, Tomonori Arakawa, Yasuhiro Niimi, and Kensuke Kobayashi,
Fabrication of NbSe2 narrow wire aiming for spin injection,
the 9th International Conference on Physics and Applications of Spin Phenomena in Solids (PASPS 9) (Aug.8-11, 2016), Kobe, Japan.

*Natsuki Kabeya, Masahiro Maeda, Tomoya Kawamura, Hiroki Taniguchi, Tomonori Arakawa, Yasuhiro Niimi, Kensuke Kobayashi, Xin-Xin Gong, Di Yue, and Xiao-Feng Jin,
Spin transport in superconducting Bi/Ni bilayers,
the 9th International Conference on Physics and Applications of Spin Phenomena in Solids (PASPS 9) (Aug.8-11, 2016), Kobe, Japan.

*Young Researcher Best Poster Award

*Hiroki Taniguchi, Mayumi Maki, Tomonori Arakawa, Toshifumi Taniguchi, Yasuhiro Niimi, and Kensuke Kobayashi,
Strong suppression of spin Hall Effect in spin-glass metal,
the 9th International Conference on Physics and Applications of Spin Phenomena in Solids (PASPS 9) (Aug.8-11, 2016), Kobe, Japan.

*Sanghyun Lee, Meydi Ferrier, Tokuro Hata, Tomonori Arakawa, and Kensuke Kobayashi,
Enhancement of thermal noise in a superconductor/carbon nanotube/superconductor junction,
the 9th International Conference on Physics and Applications of Spin Phenomena in Solids (PASPS 9) (Aug.8-11, 2016), Kobe, Japan.

*Young Researcher Best Poster Award

*Daiju Terasawa, Shota Norimoto, Tomonori Arakawa, Meydi Ferrier, Akira Fukuda, Kensuke Kobayashi, and Yoshiro Hirayama,
Conductance quantization and shot noise in a tunnel-coupled double row quantum point contact,
the 9th International Conference on Physics and Applications of Spin Phenomena in Solids (PASPS 9) (Aug.8-11, 2016), Kobe, Japan.

Oral (contributed)

*Tokuro Hata, Ryo Fujiwara, Tomonori Arakawa, Meydi Ferrier, Rui Sakano, Yoshimichi Teratani, Akira Oguri, and Kensuke Kobayashi,
Interaction effect on the field dependence of a carbon nanotube excitation spectrum,
the 9th International Conference on Physics and Applications of Spin Phenomena in Solids (PASPS 9) (Aug.8-11, 2016), Kobe, Japan.

*Tokuro Hata, Ryo Fujiwara, Tomonori Arakawa, Meydi Ferrier, Rui Sakano, Yoshimichi Teratani, Akira Oguri, and Kensuke Kobayashi,
Interaction effect on the field dependence of a carbon nanotube excitation spectrum,
33rd International Conference on the Physics of Semiconductors (ICPS 2016) (Jul. 31- Aug. 5, 2016), Beijing, China.

Invited

*Meydi Ferrier, Tokuro Hata, Tomonori Arakawa, Yoshimichi Teratani, Rui Sakano, Akira Oguri, and Kensuke Kobayashi,
Noise detection of the field enhancement of Kondo correlations in a carbon nanotube quantum dot,
The 22nd International Conference on High Magnetic Fields in Semiconductor Physics (HMF-22) (Jul. 24-29, 2016), Sapporo, Japan.

*Takahiro Sagawa,
Fluctuation Theorem for Pure Quantum States,
Information Engines at the Frontiers of Nanoscale Thermodynamics (Jun. 23- Jul. 1, 2016), Telluride, Colorado, US.

*Kensuke Kobayashi,
Current Fluctuations in Mesoscopic Systems,
45th International Conference on the Physics of Semiconductors, Jaszowiec 2016 Conference (Jun. 18-24, 2016), Szczyrk, Poland.

*Takahiro Sagawa,
Emergent Fluctuation Theorem in Pure Quantum States,
Yukawa International Seminar 2016 (YKIS2016) “Quantum Matter, Spacetime and Information” (Jun. 13-17, 2016), Kyoto, Japan.

*Kensuke Kobayashi, Meydi Ferrier, Tomonori Arakawa, Tokuro Hata, Ryo Fujiwara, Raphaelle Delagrange, Raphael Weil, Richard Deblock, Rui Sakano, and Akira Oguri,
Non-equilibrium Fluctuations of Quantum Liquids in the Kondo Regime,
China-Japan International Workshop on Quantum Technologies 2016 (QTech2016) (May 13-14, 2016), Beijing,China.

*Kensuke Kobayashi,
Edge dynamics in graphene pn junctions in the quantum Hall regime probed by the shot noise,
Workshop on Computational Nano-Materials Design and Realization for Energy-Saving and Energy-Creation Materials (Mar.25-26, 2016), Toyonaka, Japan.

Oral (contributed)

*Meydi Ferrier, Tomonori Arakawa, Tokuro Hata, Ryo Fujiwara, Raphaëlle Delagrange, Richard Deblock, Rui Sakano, Akira Oguri, Kensuke Kobayashi,
Universality of Non-equilibrium Fluctuations in Strongly Correlated Quantum Liquids,
APS March Meeting 2016 (Mar. 14-18, 2016), Maryland, USA.

Invited

*Tomonori Arakawa,
Microscopic understanding of spin current probed by shot noise,
APS March Meeting 2016 (Mar. 14-18, 2016), Maryland, USA.

*Takahiro Sagawa,
Nonequilibrium thermodynamics of quantum information,
UTokyo-ANU Workshop on Quantum Information and Control (Mar. 9, 2016), Tokyo, Japan.

Oral (contributed)

*Tomonori Arakawa, Masahiro Maeda, Meydi Ferrier, Yasuhiro Niimi, Kensuke Kobayashi, Junichi Shiogai, Makoto Kohda, and Junsaku Nitta,
Microscopic dynamics of spin current probed by noise measurement,
13th Joint MMM-Intermag Conference (Jan. 11-15, 2016), California, USA.

Invited

*Takahiro Sagawa,
Thermodynamics of information and its application to biological signal transduction,
Toyota Physical & Chemical Research Institute Workshop “Entropy, Information and Control” (Jan. 8-13, 2016), Tokyo, Japan.


2015

Invited

*Takahiro Sagawa,
Thermodynamics of Autonomous Information Processing,
KIAS Workshop on Quantum Information and Thermodynamics (Nov. 25-28, 2015), Busan, Korea.

*Kensuke Kobayashi, Meydi Ferrier, Tomonori Arakawa, Tokuro Hata, Ryo Fujiwara, Raphaëlle Delagrange, Raphael Weil, Richard Deblock, Rui Sakano, and Akira Oguri,
Universality of Nonequilibrium Behavior in Strongly Correlated Quantum Liquids,
The International Symposium on Nanoscale Transport and Technology (ISNTT2015) (Nov. 17-20, 2015), Atsugi, Japan.

Poster

*Masahiko Yokoi, Shota Norimoto, Tomonori Arakawa, Yasuhiro Niimi, and Kensuke Kobayashi,
Control of quantum electronic state by using surface acoustic wave,
The 2nd International Symposium Interactive Materials Science Cadet Program (Nov. 18-19, 2015), Osaka, Japan.

*Shota Norimoto, Masahiko Yokoi, Tomonori Arakawa, Yasuhiro Niimi, and Kensuke Kobayashi,
Study of a single electron source for fermion optics,
The 2nd International Symposium Interactive Materials Science Cadet Program (Nov. 18-19, 2015), Osaka, Japan.

*Takahiro Tanaka, Tomonori Arakawa, Masahiro Maeda, Kensuke Kobayashi, Teruo Ono, Takayuki Nozaki, Akio Fukushima, Shinji Yuasa,
Leak Current Contribution in Epitaxial Fe/MgO/Fe Magnetic Tunneling Junctions Determined by Shot Noise Measurement,
The 2nd International Symposium Interactive Materials Science Cadet Program (Nov. 18-19, 2015), Osaka, Japan.

*Shunpei Takeshita, Sadashige Matsuo, T. Tanaka, S. Nakaharai, K. Tsukagoshi, T. Moriyama, T. Ono, and Kensuke Kobayashi,
Bias dependent 1/f noise in graphene,
The International Symposium on Material Sciences (Nov. 17-18, 2015), Osaka, Japan.

*Ryo Fujiwara, Tokuro Hata, Ryosuke Yoshii, Tomonori Arakawa, Kensuke Kobayashi, Meydi Ferrier, Raphaelle Delagrange, Richard Deblock, Helene Bouchiat, R. Sakano, A. Oguri,
Spectroscopy of Excited States in Carbon Nanotube Quantum Dot,
The International Symposium on Material Sciences (Nov. 17-18, 2015), Osaka, Japan.

Oral (contributed)

*Keiji Saito,
Rigorous bound on energy absorption and generic relaxation in periodically driven quantum systems.,
Nonequilibrium statistical physics (Oct. 26- Nov. 20, 2015), Bangalore, India.

Poster

*Tomonori Arakawa, Junichi Shiogai, Mariusz Ciorga, Martin Utz, Dieter Schuh, Makoto Kohda, Junsaku Nitta, Dominique Bougeard, Dieter Weiss, Teruo Ono, and Kensuke Kobayashi,
Shot noise in the presence of spin imbalance,
International Symposium on Fluctuation and Structure out of Equilibrium 2015 (SFS2015) (Aug. 20-23, 2015), Kyoto, Japan.

*Ryosuke Yoshii, Ryo Fujiwara, Tokuro Hata, Tomonori Arakawa, Kensuke Kobayashi, Meydi Ferrier, Raphaëlle Delagrange, Richard Deblock, Hélène Bouchiat, Rui Sakano, and Akira Oguri,
Theoretical Study on Shot Noise in Coulomb Blockade Region for Carbon Nanotube Quantum Dot,
International Symposium on Fluctuation and Structure out of Equilibrium 2015 (SFS2015) (Aug. 20-23, 2015), Kyoto, Japan.

*Tokuro Hata, Tomonori Arakawa, Kensaku Chida, Sadashige Matsuo, Kensuke Kobayashi,
Avalanche electron bunching in a Corbino disk in the quantum Hall effect breakdown,
International Symposium on Fluctuation and Structure out of Equilibrium 2015 (SFS2015) (Aug. 20-23, 2015), Kyoto, Japan.

Invited

*Takahiro Sagawa,
Thermodynamics of Autonomous Information Processing and its Application to Biological Signal Transduction,
International Symposium on Fluctuation and Structure out of Equilibrium 2015 (SFS2015) (Aug. 20-23, 2015), Kyoto,Japan.

*Kensuke Kobayashi, Meydi Ferrier, Tomonori Arakawa, Tokuro Hata, Ryo Fujiwara, Raphaëlle Delagrange, Raphael Weil, Richard Deblock, Rui Sakano, and Akira Oguri,
Nonequilibrium Quantum Liquid in a Kondo-correlated Quantum Dot,
International Symposium on Fluctuation and Structure out of Equilibrium 2015 (SFS2015) (Aug. 20-23, 2015), Kyoto, Japan.

*Kensuke Kobayashi, Meydi Ferrier, Tomonori Arakawa, Tokuro Hata, Ryo Fujiwara, Raphaële Delagrange, Raphael Weil, Richard Deblock, Rui Sakano, and Akira Oguri,
Non-equilibrium Fermi Liquid in a Kondo-correlated Quantum Dot Probed by Shot Noise,
The 21st International Conference on Electronic Properties of Two-Dimensional Systems (EP2DS-21) (Jul. 26-31, 2015), Sendai, Japan.

Poster

*Tomonori Arakawa, Junichi Shiogai, Mariusz Ciorga, Martin Utz, Dieter Schuh, Makoto Kohda, Junsaku Nitta, Dominique Bougeard, Dieter Weiss, Teruo Ono, and Kensuke Kobayashi,
Bias dependent shot noise in (Ga,Mn)As/GaAs Esaki diode,
The 21st International Conference on Electronic Properties of Two-Dimensional Systems (EP2DS-21) (Jul. 26-31, 2015), Sendai, Japan.

*Meydi Ferrier, Tomonori Arakawa, Tokuro Hata, Ryo Fujiwara, Raphaëlle Delagrange, Raphael Weil, Richard Deblock, Rui Sakano, Akira Oguri, and Kensuke Kobayashi,
Shot noise monitoring of magnetic-field-induced cross-over between SU(4) and SU(2) symmetry of the Kondo effect,
The 21st International Conference on Electronic Properties of Two-Dimensional Systems (EP2DS-21) (Jul. 26-31, 2015), Sendai, Japan.

*Tatsuya Muro, Yoshitaka Nishihara, Tomonori Arakawa, Kenji Tanabe, Kensuke Kobayashi, Thomas Ihn, Clemens Rössler, and Klaus Ensslin,
Finite shot noise in the conductance plateaus of ultra-clean quantum point contacts,
The 21st International Conference on Electronic Properties of Two-Dimensional Systems (EP2DS-21) (Jul. 26-31, 2015), Sendai, Japan.

*Akira Oguri, Rui Sakano, Ryosuke Yoshii, Meydi Ferrier, Tomonori Arakawa, Tokuro Hata, Ryo Fujiwara, and Kensuke Kobayashi,
Effects of orbital splitting on the Kondo effect in a two-orbital quantum dot,
The 21st International Conference on Electronic Properties of Two-Dimensional Systems (EP2DS-21) (Jul. 26-31, 2015), Sendai, Japan.

Oral (contributed)

*Keiji Saito,
Waiting for entropic fluctuations in stochastic thermodynamics,
New Frontiers in Non-equilibrium Physics 2015 (Jul. 21- Aug. 23, 2015), Kyoto, Japan.

Invited

Meydi Ferrier, Tomonori Arakawa, Tokuro Hata, Ryo Fujiwara, Raphaëlle Delagrange, Raphael Weil, Richard Deblock, Rui Sakano, Akira Oguri, and Kensuke Kobayashi,
Universality of non-equilibrium fluctuations in strongly correlated quantum liquids,
Frontiers of Quantum and Mesoscopic Thermodynamics 2015 (FQMT’15) (Jul. 27- Aug. 1, 2015), Prague, Czech Republic.

Poster

*Tokuro Hata, Tomonori Arakawa, Kensaku Chida, Sadashige Matsuo, and Kensuke Kobayashi,
Avalanche electron bunching in a Corbino disk in the quantum Hall effect breakdown,
The 21st International Conference on Electronic Properties of Two-Dimensional Systems (EP2DS-21) (Jul. 26-31, 2015), Sendai, Japan.

*Shunpei Takeshita, Sadashige Matsuo, Takahiro Tanaka, Shu Nakaharai, Kazuhito Tsukagoshi, Takahiro Moriyama, Teruo Ono, and Kensuke Kobayashi,
Bias-voltage-dependent 1/f noise in graphene device,
The 21st International Conference on Electronic Properties of Two-Dimensional Systems (EP2DS-21) (Jul. 26-31, 2015), Sendai, Japan.

*Shota Norimoto, Tomonori Arakawa, Kenji Tanabe, and Kensuke Kobayashi,
Fabrication of an asymmetric quantum dot in quantum Hall regime as a single electron device,
The 21st International Conference on Electronic Properties of Two-Dimensional Systems (EP2DS-21) (Jul. 26-31, 2015), Sendai, Japan.

*Ryosuke Yoshii, Ryo Fujiwara, Tokuro Hata, Tomonori Arakawa, Kensuke Kobayashi, Meydi Ferrier, Raphaëlle Delagrange, Richard Deblock, Hélène Bouchiat, Rui Sakano, and Akira Oguri,
Shot Noise Measurement and Theoretical Analysis on Carbon Nanotube Quantum Dot,
The 21st International Conference on Electronic Properties of Two-Dimensional Systems (EP2DS-21) (Jul. 26-31, 2015), Sendai, Japan.

Invited

*Takahiro Sagawa,
Nonequilibrium Thermodynamics of Quantum Information Processing,
The 10th Principles and Applications of Control in Quantum Systems Workshop 2015 (PRACQSYS 2015), (Jul. 20-24, 2015), Sydney, Australia.

Oral (contributed)

*Johannes Stigloher, Martin Decker, Helmut Körner, Kenji Tanabe, Takahiro Moriyama, Takuya Taniguchi, Hiroshi Hata, Marco Madami, Gianluca Gubbiotti, Kensuke Kobayashi, Teruo Ono, and Christian H. Back,
Snell’s Law for Spin Waves,
The 22nd International Colloquium on Magnetic Films and Surfaces (ICMFS-2015) (Jul. 12-17, 2015), Krakow, Poland.

Invited

*Meydi Ferrier, Tomonori Arakawa, Tokuro Hata, Ryo Fujiwara, Raphaëlle Delagrange, Raphael Weil, Richard Deblock, Rui Sakano, Akira Oguri and Kensuke Kobayashi,
Shot noise monitoring of the cross-over between SU(4) and SU(2) symmetry of the Kondo effect in a carbon nanotube quantum dot,
ISSP International Symposium on New Perspectives in Spintronic and Mesoscopic Physics (NPSMP2015) (Jun. 1-19, 2015), Kashiwa, Japan.

Poster

*Tokuro Hata, Raphaëlle Delagrange, Ryo Fujiwara, Tomonori Arakawa, Richard Deblock, Hélène Bouchiat, Meydi Ferrier, Kensuke Kobayashi,
Shot noise of superconductor/nanotube-junction in the Kondo regime,
ISSP International Symposium on New Perspectives in Spintronic and Mesoscopic Physics (NPSMP2015) (Jun. 10-12, 2015), Kashiwa, Japan.

ベストポスター賞受賞

*Yoshimichi Teratani, Akira Oguri,Rui Sakano,Ryosuke Yoshii,Meydi Ferrier,Tomonori Arakawa,Tokuro Hata,Ryo Fujiwara,Kensuke Kobayashi,
Kondo effect in a carbon nanotube quantum dot with a finite orbital splitting and a magnetic field,
ISSP International Symposium on New Perspectives in Spintronic and Mesoscopic Physics (NPSMP2015) (Jun. 10-12, 2015), Kashiwa, Japan.

Invited

*Tomonori Arakawa, Masahiro Maeda, Teruo Ono, Junichi Shiogai, Makoto Kohda, Junsaku Nitta, Mariusz Ciorga, Martin Utz, Dieter Schuh, Dominique Bougeard, Dieter Weiss, Kensuke Kobayashi,
Shot noise induced by spin accumulation,
ISSP International Workshop on New Perspectives in Spintronic and Mesoscopic Physics (NPSMP2015) (Jun. 1-19, 2015), Kashiwa, Japan.

*Kensuke Kobayashi,
Fluctuations in Mesoscopic Systems,
IGER International Symposium on Science of Molecular Assembly and Biomolecular Systems 2015 : Spins in Action (Mar. 26-27, 2015), Nagoya, Japan.

*Takahiro Sagawa,
Thermodynamics of Nonequilibrium Systems with Feedback Control,
March Meeting 2015 of the American Physical Society (Mar. 2-6, 2015), San Antonio, Texas, US.

*Takahiro Sagawa,
Nonequilibrium thermodynamics of information processing,
Focus Meeting of the Kyoto Winter School for Statistical Mechanics (Feb. 16-17, 2015), Kyoto, Japan.

*Takahiro Sagawa,
Fluctuation Theorem for Information Processing,
2015 Berkeley Mini Statistical Mechanics Meeting (Jan. 9-11, 2015), Berkeley, California, US.

Poster

*Tokuro Hata, Raphaëlle Delagrange, Tomonori Arakawa, Ryo Fujiwara, Richard Deblock, Hélène Bouchiat, Meydi Ferrier, and Kensuke Kobayashi,
Shot noise of a superconductor/nanotube junction in the Kondo regime,
Workshop on Recent Developments in the Kondo Problem (Jan. 9-10, 2015), Kashiwa, Japan.

Invited

*Meydi Ferrier, Tomonori Arakawa, Tokuro Hata, Ryo Fujiwara, Raphaëlle Delagrange, Richard Deblock, Rui Sakano, Akira Oguri, Kensuke Kobayashi,
SU(2) and SU(4) Kondo Effect Probed by Nonequilibrium Current Fluctuations,
Workshop on Recent Developments in the Kondo Problem (Jan. 9-10, 2015), Kashiwa, Japan.

*Keiji Saito,
Kondo signature in heat transfer,
The 9th International Conference on Computational Physics (Jan. 7-11, 2015), Singapore.


2014

Invited

*Kensuke Kobayashi,
Nonequilibrium Fermi Liquid in a Kondo-correlated Quantum Dot,
APCTP 2014 Workshop on Frontiers of Physics (Dec. 20-23, 2014), Muju, Korea.

*Kensuke Kobayashi,
Nonequilibrium Kondo Effect in a Quantum Dot,
Yukawa International Seminar 2014 (YKIS2014): “Nonequilibrium Phenomena in Novel Quantum States” (Dec. 3-5, 2014), Kyoto, Japan.

*Takahiro Sagawa,
Nonequilibrium Thermodynamics of Quantum Information Processing,
Yukawa International Seminar 2014 (YKIS2014): Nonequilibrium Phenomena in Novel Quantum States (Dec. 3-5, 2014), Kyoto, Japan.

*Tomonori Arakawa, Junichi Shiogai, Mariusz Ciorga, Martin Utz, Dieter Schuh, Makoto Kohda, Junsaku Nitta, Dominique Bougeard, Dieter Weiss, Teruo Ono, Kensuke Kobayashi,
Shot noise induced by nonequilibrium spin accumulation,
The 1st International Symposium Interactive Materials Science Cadet Program (Nov. 16-19, 2014), Osaka, Japan.

Poster

*Shota Norimoto, Kenji Tanabe, Meydi Ferrier, Tomonori Arakawa, Kensuke Kobayashi, Atsufumi Hirohata, Masaki Mizuguchi, Koki Takanashi,
Transport measurement on a single Aharonov-Bohm ring in the presence of an inhomogeneous magnetic field,
The 1st International Symposium Interactive Materials Science Cadet Program (Nov. 16-19, 2014), Osaka, Japan.

*Tokuro Hata, Takahiro Tanaka, Tomonori Arakawa, Kenji Tanabe, Kensuke Kobayashi,
Avalanche electron bunching in a Corbino disk in Quantum Hall Effect Breakdown,
The 1st International Symposium Interactive Materials Science Cadet Program (Nov. 16-19, 2014), Osaka, Japan.

*Takahiro Tanaka, Tomonori Arakawa, Masahiro Maeda, Kensuke Kobayashi, Yoshitaka Nishihara, Teruo Ono, Takayuki Nozaki, Akio Fukushima, Shinji Yuasa,
Leak Current Contribution in Epitaxial Fe/MgO/Fe Magnetic Tunneling Junctions Determined by Shot Noise Measurement,
The 1st International Symposium Interactive Materials Science Cadet Program (Nov. 16-19, 2014), Osaka, Japan.

*Hiroshi Hata, Takahiro Moriyama, Kenji Tanabe, Kensuke Kobayashi, Ryo Matsumoto, Shuichi Murakami, Jun-ichiro Ohe, Daichi Chiba, and Teruo On,
Micromagnetic simulation of Snell’s law for spin waves,
59th Annual Magnetism and Magnetics Materials Conference (Nov. 3-7, 2014), Hawaii, USA.

Invited

*Takahiro Sagawa,
Information Thermodynamics on Causal Networks,
Thermodynamics, Large deviation, and Transportation (Sep. 17-18, 2014), Kyoto, Japan.

*Keiji Saito,
Several mysteries in low-dimensional heat transport,
Thermodynamics, Large deviation and Transportation (Sep.17-18, 2014), Kyoto, Japan.

Oral (contributed)

*Kenji Tanabe, Ryo Matsumoto, Jun-ichiro Ohe, Shuichi Murakami, Takahiro Moriyama, Daichi Chiba, Kensuke Kobayashi, and Teruo Ono,
Snell’s law of the magnetostatic surface wave in ferromagnetic films,
the 2014 International Conference on Solid State Devices and Materials (SSDM 2014) (Sep. 9-11, 2014), Tsukuba, Japan.

Meydi Ferrier, Tomonori Arakawa, Rio Fujiwara, Tokuro Hata, Kensuke Kobayashi, Richard Deblock, Raphaelle Delagrange, Helene Bouchiat, Rui Sakano, Akira Oguri,
Crossover Between SU(2) & SU(4) Kondo Effects in a Carbon Nanotube Probed by Shot-Noise,
the 32nd International Conference on Physics of Semiconductors (ICPS2014) (Aug. 10-15, 2014), Austin, Texas, USA.

*Yoshitaka Nishihara, Teruo Ono, Tomonori Arakawa, Takahiro Tanaka, Shota Norimoto, Kensuke Kobayashi, Thomas Ihn, Clemens Rössler, Klaus Ensslin,
Precise Shot Noise Measurement in a Clean Quantum Point Contact,
the 32nd International Conference on Physics of Semiconductors (ICPS2014) (Aug. 10-15, 2014), Austin, Texas, USA.

*Tomonori Arakawa, Junichi Shiogai, Mariusz Ciorga, Martin Utz, Dieter Schuh, Makoto Kohda, Junsaku Nitta, Dominique Bougeard, Dieter Weiss, Teruo Ono, Kensuke Kobayashi,
Observation of spin shot noise,
the 32nd International Conference on Physics of Semiconductors (ICPS2014) (Aug. 10-15, 2014), Austin, Texas, USA.

Invited

*Takahiro Sagawa,
Quantum-information thermodynamics,
YITP Workshop on Quantum Information Physics (YQIP2014) (Aug. 4-7, 2014), Kyoto, Japan.

*Takahiro Sagawa,
Information Thermodynamics on Causal Networks,
The 6th KIAS Conference on Statistical Physics “Nonequilibrium Statistical Physics of Complex Systems (NSPCS14)” (Jul. 8-11, 2014), Seoul, Korea.

*Kensuke Kobayashi,
Nonequilibrium Current Fluctuation in Quantum Device,
Kavli Futures Symposium: Nanomaterials Science in Asian Perspective (Jun. 19-20, 2014), Seoul, Korea.

*Keiji Saito,
Kondo-signature in heat transfer via local two-state system,
Advances in Non Equilibrium Statistical Mechanics (May 26-27, 2014), Florence.

Poster

*Takahiro Tanaka, Tomonori Arakawa, Masahiro Maeda, Kensuke Kobayashi, Yoshitaka Nishihara, Teruo Ono, Takayuki Nozaki, Akio Fukushima, Shinji Yuasa,
Leak Current Contribution in Epitaxial Fe/MgO/Fe Magnetic Tunneling Junctions Determined by Shot Noise Measurement,
International Magnetics Conference (INTERMAG 2014) (May 4-8, 2014), Dresden, Germany.

Oral (contributed)

*Kenji Tanabe, Ryo Matsumoto, Jun-ichiro Ohe, Shuich Murakami, Takahiro Moriyama, Daichi Chiba, Kensuke Kobayashi, and Teruo Ono,
Demonstration of Snell’s Law of Spin Wave in Ferromagnetic Film,
International Magnetics Conference (INTERMAG 2014) (May 4-8, 2014), Dresden, Germany.


2013

Invited

*Takahiro Sagawa,
Fluctuation Theorem with Information Exchange,
Solvay Workshop on “Thermodynamics of Small Systems (Dec. 2-4, 2013 ), Brussels, Belgium.

*Takahiro Sagawa,
Role of Mutual Information in Entropy Production under Information Exchanges,
East Asia Joint Seminars on Statistical Physics (EAJS-SP2013) (Oct. 21-24, 2013), Kyoto, Japan.

*Kensuke Kobayashi,
Current Fluctuation in Quantum Transport,
Workshop on “Nanoscience: Materials Phenomena at the Small Scale” (Oct. 9-11, 2013), Tsukuba, Japan.

Poster

*Sadashige Matsuo, Tomohiro Koyama, Kensaku Chida, Masaki Nagata, Daichi Chiba, Kensuke Kobayashi, Teruo Ono, Keith Slevin, Tomi Ohtsuki, Cui-zu Chang, Ke He, Xu-cun Ma, and Qi-kun Xue,
Universal Conductance Fluctuation in quasi-1D wires of Epitaxial Bi2Se3,
VietNam 2013, IXth Rencontres du Vietnam , Nanophysics: from fundamentals to applications (Aug. 4-10, 2013), Quy-Nhon, Vietnam.

*Y. Nishihara, K. Chida, T. Arakawa, S. Matsuo, T. Tanaka, K. Kobayashi, T. Ono, Y. Komijani, T. Ihn, K. Ensslin, D. Reuter, and A. D. Wieck,
Shot noise measurement at the quantum point contact on two-dimensional hole gas,
VietNam 2013, IXth Rencontres du Vietnam, Nanophysics: from fundamentals to applications (Aug. 4-10, 2013), Quy-Nhon, Vietnam.

Invited

*Kensuke Kobayashi,
Experimental Test of Fluctuation Theorem in Quantum Regime,
Frontiers of Quantum and Mesoscopic Thermodynamics 2013 (FQMT’13) (Jul. 29- Aug. 3, 2013), Prague, Czech Republic.

*Kensuke Kobayashi,
Fluctuation Theorem in a Quantum Coherent Conductor,
the 25th International Conference on Statistical Physics of the International Union for Pure and Applied Physics (IUPAP) (StatPhys25) (Jul. 22-26, 2013), Seoul, Korea.

*Y. Utsumi, D. S. Golubev, M. Marthaler, Gerd Schön, and K. Kobayashi,
Work fluctuation theorem for a classical circuit coupled to a quantum conductor,
the 25th International Conference on Statistical Physics of the International Union for Pure and Applied Physics (IUPAP) (StatPhys25) (Jul. 22-26, 2013), Seoul, Korea.




著書

2016

“Mathematical Foundations and Applications of Graph Entropy”
“Information flow and entropy production on Bayesian networks” Sosuke Ito and Takahiro Sagawa
Wiley-VCH (2016), ISBN : 978-3-527-33909-9

「情報熱力学 -マクスウェルのデーモンからランダウアー原理まで」
エリック・ルッツ,セルジオ・チリベルト(著)
沙川貴大(翻訳)
パリティ 31, 22-30(2016)

概要:情報熱力学の基本概念と最近の進展をレビューしたPhysics Todayの記事の翻訳。

「量子測定と量子制御」
沙川貴大,上田正仁
サイエンス社(2016)

新学術領域研究「ゆらぎと構造の協奏:非平衡系における普遍法則の確立」