業績リスト

A02公募(2014-15) 齋藤 一弥

論文等 | 原著論文

2015

*Kazuya Saito, Mafumi Hishida, and Yasuhisa Yamamura,
A Possible Critical Point for Nematic Order on the Basis of Landau Free Energy Having Dual Instabilities for Nano-Segregated Smectic Liquid Crystal”,
Soft Matter 11, 8493-8498 (2015).

概要: ネマチック秩序とスメクチック秩序(ナノ相分離)に対する不安定性の両方を持つ系において,(これまでに検討されてこなかった)後者がより強い場合の挙動を調べた.ネマチック秩序の対称性から3次項が存在するにもかかわらず,あるパラメータ領域で1次相転移が消失する可能性を指摘した. 【菱田真史(結果の解釈)、山村泰久(結果の解釈)、齋藤一弥(研究立案,結果の解釈ならびに論文の構成)】

Mafumi Hishida, Asami Endo, Koyomi Nakazawa, Yasuhisa Yamamura, and *Kazuya Saito ,
Effect of n-alkanes on lipid bilayers depending on headgroups,
Chemistry and Physics of Lipids 188, 61-67 (2015).

概要: りん脂質二重膜に鎖長の異なる直鎖アルカンを添加した効果がリン脂質の頭部構造に大きく依存することを明らかにした.相転移温度の解析からリン脂質頭部依存性がエンタルピー的相互作用の変化に起因することを明らかにした.この依存性はゲル相の構造変化に由来している. 【菱田真史(研究の立案と実施、原稿の執筆)、山村泰久(結果の解釈)、齋藤一弥(結果の解釈ならびに論文の構成)】

Takuya Yanagimachi, Mafumi HIshida, Yasuhisa Yamamura, and Kazuya Saito,
Ultraslow oscillation of nematic disclination after abrupt switching of DC voltage,
Journal of the Physical Society of Japan 84, 033601/1-4 (2015).

概要: ネマチック液晶セルに急激に直流電場を印加した後の転傾(位相欠陥)の運動を観察し,数百秒にわたる振動的緩和現象が発生することを見出した.この振動の見かけの周期は振幅が小さいほど長かった.非線形な弾性場の中で振動する有限質量の転傾モデルを用いて現象論的に解析を行った. 【菱田真史(結果の解釈)、山村泰久(結果の解釈ならびに論文の構成)、齋藤一弥(結果の解釈ならびに論文の構成)】

2014

Mafumi Hishida, Yasuhisa Yamamura, and *Kazuya Saito,
Salt effects on lamellar repeat distance depending on head groups of neutrally charged lipids,
Langmuir 30, 10583-10589 (2014).

概要: 頭部に電荷を持たない脂質の二重膜の作るラメラ相を実験対象とし,液相に種々の塩を添加した場合の積層間隔の塩濃度依存性と膜のゼータ電位を調べた.実験で得られた顕著な膨潤は既存の理論的な枠組みで説明できず,水和構造への塩添加効果を[考慮する必要があることを示した. 【菱田真史(研究の立案と実施、原稿の執筆)、山村泰久(結果の解釈)、齋藤一弥(結果の解釈および論文の構成)】

Koyomi Nakazawa, Mafumi Hishida, Shigenori Nagatomo, Yasuhisa Yamamura, and *Kazuya Saito,
Interplay between phase transition of DPPC bilayer and photoisomerization of doped stilbene molecule,
Chemistry Letters 43, 1352-1354 (2014).

概要: 水中に分散したDPPC膜に光異性を示すスチルベン分子を添加して,二重膜のゲル−液晶相転移への添加分子の立体効果を調べた.シス体がトランス体に比べ相転移温度を大幅に下げることから,添加分子の長さだけでなく幅が重要な因子であることを示した.一方,二重膜中における光異性化挙動が相に強く依存することを明らかにし,相挙動と光異性化反応には相互規定性があることを指摘した. 【菱田真史(研究立案と実施)、山村泰久(実験結果の解釈)、齋藤一弥(結果の解釈ならびに原稿の構成)】

*Mafumi Hishida, Koichiro Tanaka, Yasuhisa Yamamura, and Kazuya Saito,
Cooperativity between water and lipids in lamellar to inverted-hexagonal phase transition,
Journal of the Physical Society of Japan 83, 044801 (2014).

概要: 脂質膜の水和状態と相転移挙動(ラメラ相ー逆ヘキサゴナル相)の関係をX線散乱とTHz分光により調べた.脂質分子の頭部構造の違いによる親水性の相違が相転移挙動と強く相関することを示した. 【菱田真史(立案と実施,原稿執筆)、山村泰久(実験結果の解釈についての議論に参加)、齋藤一弥(結果の解釈および論文の構成)】



論文等 | 総説解説

2015

山村 泰久,*齋藤 一弥,
サーモトロピック液晶のアルキル鎖は何をしているか?,
液晶 19, 126-134 (2015).

概要: 簡単な棒状液晶分子の末端に結合した柔軟なアルキル鎖が液晶相の形成やその安定性にどのように関係するかを,筆者らの研究成果に基づき説明した.SmE相から等方性液体への相転移の転移エントロピーの鎖長依存性の解析により,任意の液晶相においてアルキル鎖が等方性液体とほぼ同じだけ乱れていることを示した.この乱れたアルキル鎖が,エントロピー溜め,および分子内溶媒として機能している実例を紹介した.SmE相の構造解析の結果に基づき,ナノ相分離した構造を,分子末端にアルキル鎖を持つ液晶性分子の作る層状液晶の基本構造として提案した. 【山村泰久(論文の構成)、齋藤一弥(原稿執筆)】

2014

*齋藤一弥,
熱量測定のこれからにむけて,
熱測定 41, 141-147 (2014).

概要: 熱測定,中でも熱力学量の測定の現代的な意味を考える材料を提供するとともに,研究に役に立つ(かもしれない)実例を紹介した.はじめに熱力学が古くさい学問ではないことを説明した上で,実験熱力学のおかれている状況を確認した.その上で,専門とする熱容量カロリメトリーと物性科学の係わりの中での,研究の進め方について私見を述べた. 【第50回記念熱測定討論会における記念講演の内容】



国際会議発表

2015

Poster

*Kazuya Saito, Yasuhisa Yamamura, and Mafumi Hishida,
Quest for Ideal Glass Formers: Synthesis and Characterization of Alkyl-Substituted DCHM,
International Symposium on Fluctuation and Structure out of Equilibrium 2015 (SFS2015) (Aug. 20-23, 2015), Kyoto, Japan.

Invited

*Kazuya Saito,
Molecular Flexibility and Aggregation Structure of Liquid Crystals,
Multiscale phenomena in molecular matter (Jul. 6-10, 2015), Krakow, Poland.

新学術領域研究「ゆらぎと構造の協奏:非平衡系における普遍法則の確立」