業績リスト

A03-001今井グループ

論文等 | 原著論文

2018

*Naohito Urakami, Takehiro Jimbo, Yuka Sakuma and Masayuki Imai,
Molecular mechanism of vesicle division induced by coupling between lipid geometry and membrane curvatures,
Soft Matter 14, 3018-3027 (2018).

概要: 自発曲率が負である脂質の形状が、ベシクル分裂に重要であることをシミューレーションで検証した。 【今井正幸:研究方針の議論、バックカバーに選ばれた】

2017

*Kentaro Suzuki, Koichiro Machida, Kazuo Yamaguchi, and Tadashi Sugawara,
Photo-triggered Recognition between Host and Guest Compounds in a Giant Vesicle Encapsulating Photo-Pierceable Vesicles,
Chemistry and Physics of Lipids 210, 70-75 (2017).

概要: 光感受性のないリン脂質からなるジャイアントベシクル内部に、紫外線分解性リン脂質を15%含む脂質二分子膜からなる光開孔性小ベシクルを封入した二重ベシクル(GV-in-GV)を遠心沈降法を用いて作成することに成功した。内部ベシクル封入された二重鎖DNAが、紫外線照射によりGV-in-GV内部へと漏出することを、DNAインタカレータ(SYBR Green I, SG)を用いた蛍光顕微鏡観察により確認した。この手法は、本来分子レベルのダイナミクスであるケージド化合物の手法を、巨視的な系に拡張したものとして意義深い。

Shoko Uemoto, Taro Toyota, Luca Chiari, Tomonori Nomoto, *Masanori Fujinami,,
Assemblies of molecular aggregates in the blebbing motion of an oil droplet on an aqueous solution containing surfactant,
Colloids and Surfaces A: Physicochemical and Engineering Aspects 529, 373-379 (2017).

概要: カチオン界面活性剤を含む水溶液の水面に,高級脂肪酸を溶解した炭化水素の油滴が加えられると,油滴は伸縮した後にブレッブ運動という複雑な変形をみせることが住野らにより報告されている。本研究では,表面張力の経時変化を準弾性レーザー散乱法で計測するのみならず,この油滴内部での流れや分子凝集体形成の過程をトレーサー粒子や蛍光分子を用いて追跡し,油滴の縁での分子凝集過程のみならず,油滴内部の変化もブレッブ運動に連動していることを見出した。

Atsuji Kodama, Yuka Sakuma, *Masayuki Imai, Toshihiro Kawakatsu, Nicolas Puff, and Miglena I. Angelova,
Migration of Phospholipid Vesicles Can Be Selectively Driven by Concentration Gradients of Metal Chloride Solutions,
Langmuir 33, 10698-10706 (2017).

概要: ベシクルに様々な金属イオンをインジェクションした時に観察される diffusiophoresis 現象を定量的に測定し、理論と比較することにより、ベシクル系での diffusiophoresis を検証した。 【佐久間由香:実験の計画と議論】

*Satoshi Honda and *Taro Toyota,
Photo-triggered solvent-free metamorphosis of polymeric materials.,
Nature Communications 8, 502 (2017).

概要: ソフトマターの流動化と非流動化は、熱刺激で観察される最も基本的な変化であるが、等温で可逆的に流動化と非流動化を繰り返すソフトマターの設計は依然として困難である。本研究は、ヘキサアリールビイミダゾールのUV照射による共有結合の開裂と非照射時の結合​​再形成に基づいて、流動状態の星型ポリマーと非流動状態のポリマーネットワークとの分子構造変換が無溶媒下で反復可能であることを示した。 【東京大学からプレスリリース。日経新聞記事掲載(2017.9.18)。academist JournalやChem-Stationスポットライトリサーチで記事掲載。Synfactsにて紹介論文(Synfacts 2017, 13(11), 1144)掲載。】

Naoko Ueno, Taisuke Banno, Arisa Asami, Yuki Kazayama, Yuya Morimoto, Toshihisa Osaki, Shoji Takeuchi, Hiroyuki Kitahata, *Taro Toyota,
Self-propelled motion of monodisperse underwater oil droplets formed by a microfluidic device,
Langmuir 33, 5393-5397 (2017).

概要: 界面活性剤水溶液中を駆動する油滴について,粒径を均一にして作製するマイクロ流体デバイスを開発した。これにより,油滴のサイズおよび界面活性剤濃度が駆動する油滴の速さに与える影響を調べ,その依存性が,マランゴニ効果のみならず,自発乳化によってもたらされるエネルギーの寄与にあることを示唆する結果を得た。 【北畑裕之:油滴の駆動機構に関する議論】

Takuro Itoh, *Taro Toyota, Hiroyuki Higuchi, Michio M. Matsushita, Kentaro Suzuki, and *Tadashi Sugawara,
Cycle of charge carrier states with formation and extinction of a floating gate in an ambipolar tetracyanoquaterthienoquinoid-based field-effect transistor,
Chemical Physics Letters 671, 71-77 (2017).

概要: 双極性半導体として機能するTCT4Q(テトラシアノテトラチエノキノイド)からなる有機FETの室温でのIV特性には、印加されたゲート電位をバイアスストレスとして、その閾値電位が速やかにシフトすると言う特徴がある。この挙動は、ゲート電位印可によって生じたキャリアが、結晶内に速やかにトラップされることであると考えられる。キャリアのトラップおよび脱トラップの過程を、種々の温度で詳細に観察したところ、キャリアのトラップ、捕捉キャリアによるフローティングゲートの形成、逆電荷のキャリアの出現、捕捉されたキャリアと逆符号のキャリア間の対消滅という四つのステージを持ったサイクルが繰り返されていることを確認した。 

2016

Taisuke Banno, Arisa Asami, Naoko Ueno, Hiroyuki Kitahata, Yuki Koyano, Kouichi Asakura, *Taro Toyota,
Deformable self-propelled micro-object comprising underwater oil droplets,
Scientific Reports 6, 31292 (2016).

概要: 水中を変形しながら泳ぎ回るアメーバ様の動きをする細胞サイズの人工の油滴を創製しました。顕微鏡画像を用いた運動解析より、この油滴の運動機構は、油滴の後方で形成される強い流れ場と油滴内部の局所的な対流構造によって、速度変化の後に変形が誘起されるという新たな運動機構であることを推定しました。 【北畑裕之(運動の解析)】

*Kentaro Suzuki, and Tadashi Sugawara,
Phototaxis of oil droplets comprising a caged fatty acid tightly linked to internal convection,
ChemPhysChem 17, 2300-2303 (2016).

概要: 紫外線照射による光分解反応によってオレイン酸を生じるケージドオレイン酸からなる粒径100 um程度の油滴に、一定方向から紫外線を照射したところ、油滴が紫外線に向かって自己駆動することを見出した。これは、照射された紫外線が油滴を透過できないため、光分解反応によるオレイン酸の生成が、紫外線照射面のみに限られるので、照射面でのみ表面張力の減少がおこることで、油滴を動かすマランゴニ流が水相に生じているためであると解釈される。さらに、継続して紫外線を照射していると、油滴の駆動速度に非線形な加速が見られることを見出した。これは、十分に化学反応が進行すると油滴内部に対流を生じ、これが油滴表面の界面活性剤濃度勾配を増強し、マランゴニ効果を増大させるためであると理解される。 【今井正幸(流体力学に関する知識提供)、北畑裕之(マランゴニ効果に関する情報提供)、豊田太郎(自己駆動油滴に関する情報提供)】

Takehiro Jimbo, Yuka Sakuma, Naohito Urakami, Primož Ziherl, and *Masayuki Imai,
Role of inverse-Cone-Shape Lipids in Temperature-Controlled Self-Reproduction of Binary Vesicles,
Biophysical Journal 110, 1551-1562 (2016).

概要: 温度変化により球状のベシクルが変形し分裂する過程を繰り返すモデル自己生産ベシクルの過程を3次元解析した。その機構を分子の形状と2分子膜内での分布が連携することにより回帰性のある変形や分裂が観察されることを膜弾性モデルを基に議論した。 【佐久間由香(現象の発見と研究計画の立案)】

Atsuji Kodama, Yuka Sakuma, *Masayuki Imai, Yutaka Oya, Toshihiro Kawakatsu, Nicolas Puff, and Miglena I. Angelova,
Migration of phospholipid vesicles in response to OH- stimuli,
Soft Matter 12, 2877-2886 (2016).

概要: リン脂質ベシクルん水酸化物イオンをインジェクションすると、その濃度勾配の高い方向にベシクルが駆動する現象を見出した。これは、ベシクル表面で水酸化物イオンにより脂質が加水分解され、それによる表面エネルギーの勾配でベシクルの周りに流れができ、ベシクルが動くためであると考えられる。 【佐久間由香(現象の発見と実験計画の立案)】

2015

Kensuke Kurihara, Yusaku Okura, Muneyuki Matsuo, Taro Toyota, Kentaro Suzuki, and *Tadashi Sugawara,
A recursive vesicle-based model protocell with a primitive model cell cycle,
Nature Communications 6, 8352 (2015).

概要: ベシクル内部のDNAを増幅した後、膜分子前駆体を添加すると速やかにベシクル自己生産が起こり、自己増殖するベシクル型人工細胞が、当研究室より報告されている。しかし、分裂したベシクルにはDNAの原料であるdNTPが枯渇しており、そのままでは再度DNAを増幅することは出来ない。本研究では、二種のリン脂質(双性イオン型とアニオン型)からなるベシクル膜の電荷に注目し、その比率が娘ベシクルとは逆のベシクルにdNTPを充填し、コンベイヤベシクルとした。分散媒が酸性になると、コンベイヤベシクルは娘ベシクルと接着・融合し、dNTPを娘ベシクルに充填するため、繰り返し自己増殖が可能となった。さらに、この繰り返し自己増殖するベシクル型人工細胞には、原始的細胞周期(分裂相、摂取相、複製相、成熟相)が存在することを見出した。 【菅原正(実験総括と論文執筆)、豊田太郎(機構の議論)、今井正幸(膜ダイナミクスの議論)】

Naohito Urakami, Akio Takai, Masayuki Imai and Takashi Yamamoto,
Molecular dynamics simulation for shape change of water-in-oil droplets,
Molecular Simulation 41, 986-992 (2015).

概要: 高分子を膜(マイクロエマルション)の中に閉じ込めることによるマイクロエマルションの形態転移の実験結果を分子シミュレーションで再現した。

Keita Ikari, Yuka Sakuma, Takehiro Jimbo, Atsuji Kodama, *Masayuki Imai, Pierre-Alain Monnard, and Steen Rasmussen,
Dynamics of fatty acid vesicles in response to pH stimuli,
Soft Matter 11, 6327-6334 (2015).

概要: 脂肪酸ベシクルにNaOHをインジェクションすると脂肪酸の可溶化がおこり、ベシクルの変形、孔形成、および膜融合が誘起されることを実験的に示し、膜弾性理論からその振る舞いを定量化した。 【佐久間由香(実験の立案と解析)】

*Yoshiyuki Kageyama, Tomonori Ikegami, Natsuko Hiramatsu, *Sadamu Takeda, and Tadashi Sugawara,
Structure and growth behavior of centimeter-sized helical oleate assemblies formed with assistance of medium-length carboxylic acids,
Soft Matter 11, 3550-3558 (2015).

概要: オレイン酸はpH = 8付近で螺旋状構造体を形成するが、その鎖長は100 µm程度である。今回、螺旋構造体を形成する際に、N-ドカノイル-L-アラニン、あるいはノナン酸、オクタン酸のナトリウム塩を少量添加しておくと、1 cmを超える螺旋構造体が形成されることが見出された。これらの塩は、界面活性剤として水溶液に溶解しているオレイン酸を螺旋末端部に連結している凝集体に運搬するため伸長が続くことがわかった。 【菅原正(超分子化学)】

Masahiro Mizuno, Taro Toyota, Miki Konishi, Yoshiyuki Kageyama, *Masumi Yamada, and Minoru Seki,
Formation of monodisperse hierarchical lipid particles utilizing microfluidic droplets in a non-equilibrium state,
Langmuir 31, 2334-2341 (2015).

概要: リン脂質ジャイアントベシクルの作製過程で分散媒を酢酸エチルから水に交換すると、リン脂質の集合状態が異なるコア―シェル型の微粒子が生成することがわかった。この交換過程をマイクロ流体デバイスで制御することで、粒径を制御したり、他の水溶性・疎水性分散質を取り込ませたコア―シェル微粒子を作製できることを示した。 【豊田太郎(微粒子の構造と形成過程の解釈)】

*Hiroshi Noguchi, Ai Sakashita and Masayuki Imai,
Shape transformations of toroidal vesicles,
Soft Matter 11, 193-201 (2015).

概要: ドーナッツ型など穴の開いたベシクルの形態について、共焦点顕微鏡と計算機シミュレーションにより、系統的に調べその振る舞いを明らかにした。 【野口博司(主著者)】

2014

Yuka Takeuchi, Yoko Sugawara, Tadashi Sugawara, and *Masakazu Iwasaka,
Magnetic rotation of monosodium urate and urinary tract stones for clinical treatment applications,
Magnetics, IEEE Transactions on 50, 6101204 (2014).

概要: 体内での尿酸ナトリウムやシュウ酸カルシウムの結晶化は、通風や尿路結石などの原因であり、その対応が求められている。そこで本研究では、水中に分散させたこれら塩の結晶に対する磁場応答性を確認した。顕微鏡観察により、尿酸ナトリウム結晶は磁場に平行に配向くし、シュウ酸カルシウム結晶は磁場に垂直に配向することを確認した。さらに、尿酸ナトリウム結晶を水中に分散させた分散液の散乱スペクトルを確認したところ、磁場による結晶回転を散乱強度の変化として確認することができ、さらに配向は磁場のON/OFF、印加方向などで制御できる。このような方法は、体内にできたこの種の結晶の配向を制御することに使えるのではないか。 【菅原正(結晶構造)】

Yuri Mizukawa, Kentaro Suzuki, Shigefumi Yamamura, Yoko Sugawara, Tadashi Sugawara, and *Masakazu Iwasaka,
Magnetic manipulation of nucleic acid base microcrystals for DNA sensing,
Magnetics, IEEE Transactions on 50, 5001904 (2014).

概要: 核酸塩基のマイクロ結晶が、水中で示す磁場配向性を利用した新しいDNA認識法に関する研究を行った。再結晶により得られたグアニンのマイクロ結晶は、その反磁性磁化率異方性により、結晶の長軸を磁場に垂直にするような磁場配向を起こすのに必要な磁場の大きさは、一般的な永久磁石レベルの数百mTで、十分なことがわかった。この結晶表面にDNAを吸着させ、DNAが吸着しなかった場合との磁場配向性の程度を、配向角の大小で比較した。その結果、DNAを吸着させることにより、磁場配向性が弱まる傾向が認められた。 【菅原正(結晶構造)】

Ai Sakashita, Masayuki Imai, and *Hiroshi Noguchi,
Morphological variation of a lipid vesicle confined in a spherical vesicle,
Physical Review E 89, 040701/1-4 (2014).

概要: ベシクル内に閉じ込められたベシクルの拘束の強さを変化させた時の変形の振る舞いを共焦点顕微鏡と計算機シミュレーションで系統的に追跡したもの。 【野口博司(主著者)】

*Tomoyuki Mochida, Yusuke Funasako, Kousuke Takazawa, Masashi Takahashi, Michio M. Matsushita, and Tadashi Sugawara,
Chemical control of the monovalent-divalent electron-transfer phase transition in biferrocenium-TCNQ salts,
Chemical Communications 50, 5473-5475 (2014).

概要: ドナー分子 としてフェロセンの誘導体(1',1'''-ジネオペンチルビフェロセン)、アクセプター分子としてTCNQの誘導体(F1TCNQ)を混合して結晶化すると、成分比1:3のイオン性分子結晶を形成する。その電荷状態は室温付近ではD+A3型の一価であるが、120 K付近で一次相転移を示し、D2+A32−型の二価へと変化した。同塩結晶中に母体であるTCNQ(F1TCNQよりアクセプター性が低い)をドープしたところ、その添加濃度に応じて転移温度が低温にシフトした。一方、F1TCNQよりアクセプター性の高いF2TCNQをドープした場合には、高温へとシフトした。どちらの場合も、転移温度の周辺挙動はブロードニングする。これは、ドーピングにより本結晶中に存在する3分子のアクセプターの構成比率に揺らぎが生じたためと考えられる。さらに、ドナー分子のネオペンチル基を、嵩高さが小さいイソブチル基に置換した分子を用いて、F1TCNQとの1:3イオン性分子結晶を作製すると、その一価から二価への転移温度は高温へとシフトした。これは、置換基の化学圧力によるアニオン-カチオン間の距離の圧縮が、マーデルングエネルギーを減少させたことによると見られる。 【菅原正(物性考察)】

*Katsuto Takakura, Takahiko Yamamoto, Kensuke Kurihara, Taro Toytota, Kiyoshi Ohnuma, and *Tadashi Sugawara,
Spontaneous Transformation from Micelles to Vesicles Associated with Sequential Conversionsof Comprising Amphiphiles within Assemblies,
Chemical Communications 50, 2190-2192 (2014).

概要: 親水部と疎水部がイミン結合でつながれた一本鎖型両親媒性分子N1と、親水部に直結されたベンズアルデヒド部位を有する一本鎖型両親媒性分子N2とからなる複合ミセル内部で、N1の加水分解により生じたアルキルアニリンが、N2と脱水縮合することで二本鎖型両親媒性分子Vを生じる。このアニリン交換によって、分子集合体の形態が、ミセルからベシクルへと自発的に変化した。 【菅原正(研究総括)、豊田太郎(顕微鏡および粒度分布計測)】

2013

*Yuka Sakuma, Takashi Taniguchi, Toshihiro Kawakatsu, and Masayuki Imai,
Tubular membrane formation of binary giant unilamellar vesicles composed of cylinder and inverse-cone-shaped lipids,
Biophysical Journal 105, 2074-2081 (2013).

概要: 生体膜は、その機能を効率よく発現するために特徴的な形状を有している。例えば、膜面上で生命維持に必要な物質を合成しているミトコンドリアという細胞小器官は、合成効率をあげるために膜内部に多数のチューブ状構造を形成し、膜面積を大きくしている。我々は今回、逆コーン形とシリンダー形の二種類の脂質から成る二成分ベシクルに温度変化を与えることにより、この特徴的なチューブ構造を再現することに成功した。また、チューブ構造は温度サイクルにより何度でも形成・消滅を繰り返す。このチューブ構造は、i) 温度上昇に伴う膜面積増大によるベシクル内圧の低下が膜内部への陥没を誘起する ii) 膜の陥没により膜内部の負圧が解消され、リピドソーティング(内外の膜における脂質の非対称分布)を伴いながらチューブ構造が形成される という二段階の過程によるものと考え、膜のエネルギーバランスの観点から理論的考察を行なった。

*Yoshiyuki Kageyama, Naruho Tanigake, Yuta Kurokome, Sachiko Iwaki, *Sadamu Takeda, Kentaro Suzuki, and *Tadashi Sugawara,
Macroscopic motion of supramolecular assemblies actuated by photoisomerization of azobenzene derivatives,
Chemical Communications 49, 9386-9388 (2013).

概要: アゾベンゼン部位を有する脂肪酸化合物を混入させた螺旋状オレイン酸自己集合体に紫外線照射すると、螺旋のまき直しダイナミクスが誘発された。アゾベンゼン部位が光照射によりシス-トランス転移することで、その排除体積が変化することと関連づけられる。 【菅原正(オレイン酸螺旋構造体およびその内部での分子挙動に関する考察)】(背表紙に選ばれた。)

*Masakazu Iwasaka, Yuito Miyashita, Yuri Mizukawa, Kentaro Suzuki, Taro Toyota, and Tadashi Sugawara,
Biaxial Alignment Control of Guanine Crystals by Diamagnetic Orientation,
Applied Physics Express 6, 037002/1-4 (2013).

概要: 水中に分散した金魚由来のグアニン単結晶において、ガラス容器底面に沈殿した結晶に対し、ガラス面に平行に400 mTの静磁場(平行磁場)を印加すると、結晶の長軸方向が磁場に平行になるように配向した。一方で、ガラス面に垂直方向に磁場(垂直磁場)を印加すると、結晶はその単軸方向が磁場に平行になるように配向した。さらに両方向から磁場を印加すると、平行磁場に長軸が平行に揃う配向が速やかに起こった。 【菅原正(グアニン結晶中での分子配向についての解釈)】



論文等 | 総説解説

2018

*Miglena I. Angelova, Anne-Florence Bitbol, Michel Seigneuret, Galya Staneva, Atsuji Kodama, Yuka Sakuma, Toshihiro Kawakatsu, Masayuki Imai, Nicolas Puff,
pH sensing by lipids in membranes: The fundamentals of pH-driven migration, polarization and deformations of lipid bilayer assemblies,
Biochimica et Biophysica Acta (BBA) – Biomembranes 1860, 2042-2063 (2018).

概要: 生体膜はpHの影響を大きく受けると考えられている。本研究では脂質二分子膜中で、脂質が周囲のpH変化の影響を受けて泳動,特定の脂質の局在化及び膜変形を示すことを実験的に明らかにし、物理モデルを立てて検証することで理論的な立場からもこれらの膜挙動のメカニズムを解明した。 【今井正幸:研究方針の議論】

2017

*Taro Toyota, Taisuke Banno, Juan M. Castro, and Masayuki Imai,
Locomotion and transformation of underwater micrometer-sized molecular aggregates under chemical stimuli,
Journal of Physical Society of Japan 86, 101006 (2017).

概要: 界面活性剤などの添加剤を加えたときの分子凝集体(油滴,液晶滴,ジャイアントベシクル)の駆動現象に関する近年の研究例をまとめ、細胞様分子凝集体の駆動機能が、生命起源における反応場の化学進化につながる可能性について論じた。 【今井正幸:分子凝集体の水中での駆動機構に関する議論】

2016

鈴木健太郎,
ディビジョン・トピック(有機結晶):光に向って自ら駆動する油滴,
化学と工業 69, 1054 (2016).

概要: 今年に上梓した、走光性を示すケージドオレイン酸からなる油滴が示す走光性に関する論文(ChemPhysChem 17, 2300-2303 (2016))に関しての解説を行った。 【菅原正(本記事で紹介している論文の共著者)】

鈴木健太郎, 菅原正,
走光性を示す自己駆動油滴,
豊田研究報告 69, 67-71 (2016).

概要: 化学反応を利用して自ら動きを作り出す分子集合体のダイナミクスについて、最近の動向を紹介すると共に、近年筆者らが見出した紫外線照射下で自己駆動するケージドオレイン酸油滴に関し、光化学反応と油滴内部状態や動きが協奏して、走光性や非線形の加速現象を生み出される分子システムについて紹介した。

2015

*菅原正,松下未知雄,鈴木健太郎,
ワイヤー分子で連結された金ナノ粒子ネットワークの電子輸送,
豊田研究報告 68, 85-99 (2015).

概要: 両端にチオール基を有するワイヤー分子で連結された金ナノ粒子ネットワークにおけるワイヤー分子を介した電子輸送は、ナノ粒子の電気容量が小さくクーロンブロッケードとして働くため、熱励起トンネリングによる単一電子輸送が実現している。そこで、分子ワイヤーに電場や磁場や光といった外的刺激に対する応答性を担わすと、ネットワークの導電挙動が操作可能となる。ネットワークの外場応答性に履歴性が出現すれば、形成後のネットワークに後天的に情報や機能を覚え込ませることができる。このような特質は、現在のシリコンベースの集積回路よりも脳回路に近いアプローチでのエレクトロニクス構築への道を拓くだろう。

Yuka Sakuma and *Masayuki Imai,
From vesicles to protocells: the roles of amphiphilic molecules,
Life 5, 651-675 (2015).

概要: 分子集合体からプロトセルへの発展を膜物理の観点から、自己生産、膜輸送(孔形成・接着)について解説した。 【佐久間由香(研究計画の立案と実験的研究の推進)】

2014

*菅原正,
人工細胞への構成的アプローチ,
パリティ 30, 64-65 (2014).

概要: 2015年を迎えるにあたりパリティ誌上での「物理科学, この1年」と題した特集で、生物物理分野のトピックスのひとつとして、著者らが進めているベシクルを基盤とする人工細胞の研究について総説を上梓した。 【菅原正(総括)】

*菅原正, 鈴木健太郎, 栗原顕輔, 豊田太郎,
分子システムとしてつくる人工細胞,
豊田研究報告 67, 63-70 (2014).

概要: 我々は、ベシクルの表面で選択的に起こる膜分子生産反応を利用したベシクル自己生産系の内側で、DNA複製反応を行うことで、自己生産と情報複製とが連動したベシクル型人工細胞の構築に成功した。本総説では、ad hocな膜分子を用いたベシクル自己生産系の構築、内部でDNAを複製するベシクルの構築とその集団的描像、ベシクル型人工細胞の構築とそこで見られるDNA-膜分子複合体役割、ベシクル輸送を利用した回帰性のあるベシクル型人工細胞、DNAの持つ情報(長さ)に依存したベシクル形態変化の様式の違いについて、解説した。

*菅原正, 鈴木健太郎,
自らが増殖する人工細胞の化学構築,
高分子 63, 382-384 (2014).

概要: ジャイアントベシクルの内部で酵素反応によるDNAの増幅が進行し、外部から膜分子の前駆体を添加すると肥大して分裂するというベシクル型人工細胞が構築された。本稿では、なぜDNAの複製が可能になるのかについて、分子システムとしての立場から論じた。



国際会議発表

2017

Invited

*Masayuki Imai, Minoru Kurisu, Harutaka Aoki, Yuka Sakuma, Sandra Luginbühl, and Peter Walde,
Vesicle Growth Coupled with Template Polymerization – Toward Vesicle Based Self-Reproducing Automaton -,
Cell-Free Synthetic Biology Workshop (Nov. 25, 2017), Fukuoka, Japan.

Poster

*Tadashi Sugawara, Muneyuki Matsuo, Taro Toyota, Kentaro Suzuki,
Competitive Proliferation of GV-based Model Protocells,
International Symposium on Fluctuation and Structure out of Equilibrium 2017 (Nov. 20-23, 2017), Miyagi, Japan.

*Kentaro Suzuki, Naoyuki Nakayama, Masayuki Iguchi, Tadashi Sugawara,
Photo-sensitive Encapsulated Oil-droplets Causing Dynamics of Giant Vesicle,
International Symposium on Fluctuation and Structure out of Equilibrium 2017 (Nov. 20-23, 2017), Miyagi, Japan.

Invited

Ryuta Ebihara, Takuma Kono, Primoz Ziherl, and *Masayuki Imai,
Morphologies in Vesicle-Vesicle Adhesion,
Association in Solution IV (Jul. 31-Aug. 4, 2017), St. Johns, Canada.

*Taro Toyota,
Diversity on locomotion modes of underwater molecular aggregates,
EON Workshop “Sensors, Motors and Behaviour at the Origin of Life” (Jul. 26-28, 2017), Tokyo, Japan.

*Masayuki Imai, Yuka Sakuma, Takehiro Jimbo, Toshihiro Kawakatsu, and Naohito Urakami,
Self-reproduction of vesicles,
International workshop “Expanding the evolutionary potential of minimal living systems” (Jun. 20, 2017), Tokyo, Japan.

*Taro Toyota,
Self-propelled Motion of Molecular Aggregates for Mobile Model Protocell,
International Conference on the Origin of Life (May 29-30, 2017), Tokyo, Japan.

Keynote/Plenary

*Tadasgu Sugawara, Kensuke Krihara, Muneyuki Matsuo, Taro Toyota, and Kentaro Suzuki,
How RNA/DNA, Protein, and Lipid Worlds meet in a vesicle-based model protocell?,
The Origin of Life -Synergy among the RNA, Protein, and Lipid Worlds- (May 29-30, 2017), Tokyo, Japan.

Invited

*Masayuki Imai, Yuka Sakuma, Takehiro Jimbo, Toshihiro Kawakatsu, and Naohito Urakami,
Self-reproduction of vesicles: Membrane physics approach,
The Origin of Life -Synergy among the RNA, Protein, and Lipid Worlds- (May 28-29, 2017), Tokyo, Japan.

*Yuka Sakuma,
Control of vesicle deformation toward protocell,
International Conference The Origin of Life (May 29-30, 2017), Tokyo, Japan.


2016

Poster

*Naoyuki Nakayama, Kentaro Suzuki, and Tadashi Sugawara,
Construction of Phototactic Oil-droplet with High Photo-sensitivity,
The 10th International Symposium on the Kanagawa University: National Taiwan University Exchange Program 2015 (Mar. 12, 2016), Hiratsuka, Japan.


2015

Oral (contributed)

*Kentaro Suzuki, Naoyuki Nakayama, and Tadashi Sugawara,
Self-driven motion of oil-droplet emerged after chemical reaction,
2015 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (PACIFICHEM 2015) (Dec. 15-20, 2015), Hawaii, USA.

Poster

*Kotaro Machida, Kentaro Suzuki, Kazuo Yamaguchi, and Tadashi Sugawara,
Giant vesicle containing a photo-sensitive smaller giant vesicle,
2015 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (PACIFICHEM 2015) (Dec. 15-20, 2015), Hawaii, USA.

*Muneyuki Matsuo, Kensuke Kurihara, Taro Toyota, and Tadashi Sugawara,
Morphorogical diversity of giant vesicle-based protcell depending on degree of complexation of DNA and catalysts,
2015 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (PACIFICHEM 2015) (Dec. 15-20, 2015), Hawaii, USA.

*Kentaro Suzuki, Naoyuki Nakayama, and Tadashi Sugawara,
Positive phototaxis of oil-droplets of caged oleic acid against an anisotropic UV irradiation,
2015 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (PACIFICHEM 2015) (Dec. 15-20, 2015), Hawaii, USA.

Invited

*Tadashi Sugawara,
Identity as life acquired by hierarchical emerged in molecular system,
2015 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (PACIFICHEM 2015) (Dec. 15-20, 2015), Hawaii, USA.

*Tadashi Sugawara, Katsuto Takakura, Kensuke Kurihara, Taro Toyota, and Kentaro Suzuki,
Self-reproduction of giant vesicle emerged under non-equilibrium condition,
2015 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (PACIFICHEM 2015) (Dec. 15-20, 2015), Hawaii, USA.

*Masayuki Imai,
Chemical control of vesicle dynamics,
iCeMS International Symposium Hierarchical Dynamics in Soft Materials and Biological Matter (Sep. 23-26, 2015), Kyoto, Japan.

*Takehiro Jimbo, Yuka Sakuma, Primoz Ziherl, Naohito Urakami, and Masayuki Imai,
Physics of self-reproduction of vesicle reveal by 3D analysis,
International Workshop on Challenge to Synthesizing Life (Aug. 25-26, 2015), Hakone, Japan.

*Yuka Sakuma,
Approach to Minimal Cell based on membrane physics,
International Workshop on Challenge to Synthesizing Life (Aug. 25-26, 2015), Hakone, Japan.

*Kentaro Suzuki,
Spontaneous Motion of Photo-active Oil Droplets,
International Workshop on Challenge to Synthesizing Life (Aug. 25-26, 2015), Hakone, Japan.

*Taro Toyota,
Self-propelled motion of micrometer-sized molecular aggregates underwater,
International Workshop on Challenge to Synthesizing Life (Aug. 25-26, 2015), Hakone, Japan.

*Tadashi Sugawara, Kensuke Kurihara, Muneyuki Matsuo, Taro Toyota, and Kentaro Suzuki,
Recursive Proliferation of Vesicle-Based Protocell,
International Symposium on Fluctuation and Structure out of Equilibrium 2015 (SFS2015) (Aug. 20-23, 2015), Kyoto, Japan.

Poster

Juan M. Castro, Taisuke Banno and *Taro Toyota,
Giant Vesicle Formation Induced by Acyl Chain Elongation of a Synthetic Phospholipid,
International Symposium on Fluctuation and Structure out of Equilibrium 2015 (SFS2015) (Aug. 20-23, 2015), Kyoto, Japan.

Keynote/Plenary

*Tadashi Sugawara, Kensuke Kurihara, Muneyuki Matsuo, Taro Toyota, and Kentaro Suzuki ,
Recursive Vesicle-based Protocell Constructed as a Molecular System,
SysChem 2015 (May 19-22, 2015), Kerkrade, Netherland.

Invited

*Tadashi Sugawara, Kensuke Kurihara, Muneyuki Matsuo, Taro Toyota, and Kentaro Suzuki,
Sustainability of Recursive Vesicle-based Protocell,
AMS Seminar at POSTECH (Mar. 25, 2015), Pohang, Korea.

*Tadashi Sugawara, Kensuke Kurihara, Kentaro Suzuki, Taro Toyota, and Muneyuki Matsuo,
How Self-proliferative Vesicle-based Protocell Acquire Responsibility and Recursibility,
BIT’s 1st Annual World Congress of Smart Materials-2015 (WCSM-2015) (Mar. 23-25, 2015), Busan, Korea.


2014

Invited

*Tadashi Sugawara, Kensuke Kurihara, Muneyuki Matsuo, Taro Toyota, Kentaro Suzuki,
How could a model protocell acquire identity as life through autonomous responses towards external stimuli?,
4th Symposium on Artificial Life and Biomimetic Functional Materials (Nov. 28, 2014), Tokyo, Japan.

*Kentaro Suzuki, Naoyuki Nakayama, and Tadashi Sugawara,
Self-driven motion of oil droplets launched by UV irradiation,
4th Symposium on Artificial Life and Biomimetic Functional Materials (Nov. 28, 2014), Tokyo, Japan.

*Tadashi Sugawara,
Constructive Approach towards Vesicle-based Protocell,
EARTH-LIFE SCIENCE INSTITUTE (ELSI) Seminar (Oct. 22, 2014), Tokyo, Japan.

Oral (contributed)

*Tadashi Sugawara, Muneyuki Matsuo, Kensuke Kurihara, Taro Toyota, and Kentaro Suzuki,
How Prebiotic Materials Collaborate in a Vesicle-based Protocell,
OQOL2014, Open Questions the Origin of Life 2014 (Jul. 12-13, 2014), Kyoto, Japan.

*Tadashi Sugawara, Muneyuki Matsuo, Kensuke Kurihara, Taro Toyota, and Kentaro Suzuki,
Constructive Approach towards a Vesicle-based Protcell,
Origins2014, 2nd ISSOL – The International Astrobiology Society and Bioastronomy (IAU C51) Joint International Conference (Jul. 6-11, 2014), Nara, Japan.

Invited

*Taro Toyota,
Locomotion of tubular giant vesicles,
Bridging the gap between matter and life (Jun. 3, 2014), Tokyo, Japan.

*Kentaro Suzuki,
Morphology of Giant Vesicle Caused by Molecule-based Dynamics,
The 9th International Symposium on the Kanagawa University – National Taiwan University Exchange Program 2013 (Mar. 15, 2014), Kanagawa, Japan.

Poster

*Kotaro Machida, Kentaro Suzuki, and Tadashi Sugawara,
Cadmium-Free Synthesis of Functional Phospholipid by Kieselguhr-adsorption Method,
The 9th International Symposium on the Kanagawa University – National Taiwan University Exchange Program 2013 (Mar. 15, 2014), Kanagawa, Japan.

*Yuki Kobayashi, Kentaro Suzuki, and Tadashi Sugawara,
Synthesis of Phenylviologen-type Molecular Wire,
The 9th International Symposium on the Kanagawa University – National Taiwan University Exchange Program 2013 (Mar. 15, 2014), Kanagawa, Japan.

Invited

Atsuji Kodama, Yuka Sakuma, *Masayuki Imai, Toshihiro Kawakatsu, Nicolas Puff, and Miglena I. Angelova,
Chemophoresis of Vesicle,
Workshop on Cross Correlation & Transport Phenomena in Soft Matter (Jan. 27-28, 2014), Tokyo, Japan.


2013

Invited

Atsuji Kodama, Yuka Sakuma, *Masayuki Imai, Toshihiro Kawakatsu, Nicolas Puff, and Miglena I. Angelova,
Chemophoresis of Neutral Phospholipid Vesicle,
International Workshop “From Soft Matter to Protocell” (Sep. 18-20, 2013), Sendai, Japan.

Yuka Sakuma, Takehiro Jimbo, and Masayuki Imai,
Binary Vesicles Having Functions of Protocell,
International Workshop “From Soft Matter to Protocell” (Sep. 18-20, 2013), Sendai, Japan.

*Tadashi Sugawara,
Approach to Evolvable Protocell,
International Workshop “From Soft Matter to protocell” (Sep. 18-20, 2013), Sendai, Japan.

*Tadashi Sugawara,
Artificial Cell Viewed as a Molecular System,
Summer School 2013, Okazaki Institute for Integrative Bioscience, SOKENDAI “Integrative Bioscience Education Program” (Aug. 22-24, 2013), Okazaki, Japan.




著書

2017

Properties and Uses of Microemulsions,
“Self-propelled motion of micrometer-sized oil-in-water droplets in aqueous solution of surfactant” Taisuke Banno, Taro Toyota, Koichi Asakura
InTech (2017), 139-154

概要:界面活性剤の共存下で油と水が混合すると、一般にエマルションが形成するが、近年、油と水、界面活性剤の化学種の組み合わせによっては、マイクロメートルサイズのエマルション液滴が水中を駆動する現象が報告されるようになった。本章では、駆動する油滴の観察方法を紹介し、駆動する油滴の運動モードの変化を誘起する化学的アプローチを通して駆動メカニズムに迫る研究例を解説する。

2014

「生体膜の分子機構リピッドワールドが先導する生命科学」梅田真郷(編)
“リピッドワールドの物理-脂質ベシクルの形態とダイナミクス”
佐久間由香、今井正幸
化学同人(2014), 117-152, ISBN : 978-4-7598-1516-0

概要:生命としての最小限に機能を有する細胞ミニマルセルを実現するためのソフトマターからのアプローチについてとくに脂質膜の物理の立場から解説した。

2013

「科学の指針シリーズ 超分子の化学」菅原正, 木村榮一(編)
“まえがき、第一章 超分子化学とは、第二章 水素結合による超分子構築(共著)、第三章 ファンデルワールス相互作用による超分子構築(共著)、第四章 電荷移動相互作用による超分子構築、第六章 生体内で機能する超分子” 菅原正, 村田滋, 堀顕子
裳華房(2013), 1-133 / 173-211, ISBN : 978-4-7853-3226-6

概要:超分子化学の基礎となる「分子間力」の原理を懇切丁寧に解説しながら、超分子の概念とその驚異的な構造、およびそれぞれの超分子の物性と機能とその用途、さらには最新の話題である生体機能の本質の理解に役立つ超分子までを、豊富な具体例を元に概観した。この分野の入門書として上梓されたものである。
新学術領域研究「ゆらぎと構造の協奏:非平衡系における普遍法則の確立」