研究項目

公募研究 A04(2016-2017) 融合班

量子流体力学における「ゆらぎと構造の協奏」

研究代表者

坪田 誠  TSUBOTA, Makoto

大阪市立大学 大学院理学研究科 教授
URL : http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/phys/eep/top-j.html

研究概要

低温物理学における重要テーマの一つである量子流体力学を、非線形・非平衡物理学の観点から、理論的および数値的に研究する。舞台となる系は、超流動ヘリウムおよび原子気体ボース・アインシュタイン凝縮体(BEC)である。第1の目標は、超流動ヘリウムにおける超流体・常流体の結合乱流である。超流動ヘリウムの量子乱流の研究は半世紀以上の歴史があるが、最近の優れた可視化実験が量子渦や常流動流れ場の挙動を明らかにし、新たな段階に入った。これらの実験に動機づけられ、我々は管内流れの数値的研究を行い、量子渦の運動の大きな揺らぎが作る非一様乱流の構造と、量子乱流境界層の対数型速度分布を明らかにした。これらの研究では、常流体流れ場は固定していた。そのダイナミクスをナヴィエ・ストークス方程式で扱い、量子渦の運動と結合させ、超流体・常流体の結合乱流と乱流遷移を明らかにすることを目標とする。これが低温物理学に与えるインパクトは強く、本新学術領域研究にとっても貢献できると考える。第2の目標は、多成分BECの量子流体力学および量子乱流を非平衡臨界現象の観点から調べ、その普遍則を探る研究である。

新学術領域研究「ゆらぎと構造の協奏:非平衡系における普遍法則の確立」