業績リスト

A03公募(2016-17) 前多 裕介

論文等 | 原著論文

2017

Kazusa Beppu, Ziane, Izri, Jun Gohya, Kanta Eto, Masatoshi Ichikawa, and *Yusuke T. Maeda,
Geometry-driven collective ordering of bacterial vortices,
Soft Matter 13, 5038 (2017).

概要: 自律的に動く要素(アクティブマター)が多数あつまると、運動方向の相関が長距離にわたって持続する集団運動が出現する。代表的なアクティブマターであるバクテリアは、高密度の集団において擬2次元平面内で大小さまざまな渦構造が入り乱れる乱流様の運動を示す。本研究では、境界形状を自在に設計する新たな手法を開発し、円形境界のもとにおくと渦運動が出現し、複数の渦が接すると回転方向が揃う相や交互に入れ替わる相が出現することを見出した。2つの渦が対をなした渦ペアには、同じ向きの強磁性ペアと反対向きの反強磁性ペアがあり、その転移は幾何パラメータで決定されることがわかった。この幾何的ルールは複雑な境界にも適用できるアクティブ渦運動の制御原理と考えられる。 【市川 正敏:実験結果に対する議論】



論文等 | 総説解説

2017

*前多裕介,
界面駆動の流動と輸送:生命を捉える非平衡力学,
物性研究・電子版 6(4), 064226 (2017).

概要: かのヴォルフガング・パウリが「バルクは神の賜物、表面は悪魔の仕業」と評するように、表面の存在は物質の機能と性質を支配しうる。これは固体電子系に限らず液中を漂う微粒子や分子にも通じる標語であり、熱力学的変数の勾配下の輸送現象に現れる。本ゼミでは、液中の輸送現象と流動に関する基礎的理論を概説した後、分子マニピュレーションや生命の起源に関する再構成実験などの非平衡ソフトマターに関連した最新の知見を紹介する。さらに後半では、界面駆動の流れと輸送現象を自律的運動に転換するアクティブマターの力学を示すとともに、細胞内にみられる生命現象を捉える非平衡力学の展望を述べる。

2016

前多裕介, 福山達也,
温度勾配・濃度勾配の共存下での生体高分子の非平衡輸送現象,
日本物理学会誌 71, 746-751 (2016).

概要:  温度勾配や電場などの下で粒子・分子が一方向的に輸送されることを輸送現象という。溶液中において温度が異なる2点間では熱流が生じ、温度勾配が形成される。温度勾配下でのコロイド粒子や生体高分子の輸送現象は熱泳動またはSoret効果(Ludwig-Sore効果)とよばれる。熱泳動は他の輸送現象, 例えば電気泳動や誘電泳動とは異なり、輸送される粒子や分子の表面電荷や誘電率など物質固有の性質よりむしろ粒子表面と溶媒間の相互作用に輸送を駆動する物理的起源がある。本総説では、温度勾配・濃度勾配の共存下での輸送現象の基礎から応用を概説する。



国際会議発表

2017

Invited

Shimpei Nogami, Takaharu Shiraki, *Yusuke T. Maeda,
Molecular transport and polymerization in prebiotic field out of equilibrium,
The Origin of Life -Synergy among the RNA, Protein, and Lipid Worlds- (May 29-30, 2017), Tokyo, Japan.


2016

Invited

*Yusuke T. Maeda, and Tatsuya Fukuyama,
Hydrodynamics and enzymatic reaction in moving thermal gradients,
International Workshop on Hydrodynamic Flows in/of Cells (Nov. 24-25, 2016), Tokyo, Japan.

Yusuke T. Maeda,
Geometry and boundary control of collective motion in bacteria suspensions,
Current and Future Perspectives in Active Matter (Oct. 28-29, 2016), Tokyo, Japan.

新学術領域研究「ゆらぎと構造の協奏:非平衡系における普遍法則の確立」