研究項目

量子ホール接合系における分数電荷準粒子の生成・消滅過程の研究

研究概要

分数量子ホール系は代表的な量子多体系として数多くの理論研究の検証の舞台となり、固体物性研究に大きな貢献をしてきた。分数量子ホール系における素励起（準粒子）は素電荷eよりも小さな分数電荷を持ち、これは電子相関効果に起因するドラマティックな現象である。分数電荷準粒子はトンネル障壁を透過する電流の非平衡ゆらぎの大きさとして検証されるが、これまでの研究では主に単独の量子ホール系における分数電荷の計測がなされてきた。これに対し本研究では、電流ゆらぎ相関測定によって、異なるランダウ準位占有率を持つ複数の量子ホール系の接合系における準粒子の生成・消滅過程を検証する。このような接合系では様々な占有率の組み合わせによる豊かな現象の発現が予想され、準粒子のダイナミクスに関する深い知見を得ることが期待できる。これは量子多体系における基礎研究として、物性物理学全般にインパクトを与えうる課題だと考えている。