研究項目

公募研究 A01(2014-2015) 基礎班

ゲージ・重力対応を用いた非平衡定常系の基本法則の探求

研究代表者

中村 真  NAKAMURA, Shin

中央大学 理工学部 教授
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研究概要

本研究では、超弦理論で提唱された「ゲージ・重力対応(AdS/CFT対応)」を非平衡系の物理学に応用する。ゲージ・重力対応とは、ある種の強結合量子ゲージ理論がある種の古典的重力理論と等価であるとする予想である。非閉じ込め相のゲージ理論の有限温度系は重力理論側のブラックホール時空で記述されることが分かっているが、重力側の計算は古典運動方程式を解く作業であり、ゲージ理論というミクロ理論から、直接粗視化のプロセスに触れることなく、統計系としてのマクロな記述が得られている。従って、ブラックホールで構成した平衡系を外力でドライブすれば、非平衡状態での粗視化の問題に深く立ち入ることなく、重力理論のダイナミクスから非平衡系の記述が自動的に与えられるであろう。本研究ではこのような新たな手法を用いて、非平衡定常系の線形応答領域外での物理的性質を精査していく。特に、非平衡相転移・臨界現象や、非平衡定常系の揺らぎを特徴づける有効温度とそれに関わる普遍的法則について、重力側の視点から明らかにしていく予定である。

新学術領域研究「ゆらぎと構造の協奏:非平衡系における普遍法則の確立」