研究項目

公募研究 A03(2014-2015) 機能班

F1-ATPaseによるエネルギー変換と非平衡揺らぎ

研究代表者

宗行 英朗  MUNEYUKI, Eiro

中央大学 理工学部 教授
URL : http://www.phys.chuo-u.ac.jp/j/muneyuki/

研究概要

10 nm内外の大きさしかない生物の分子モーターは、化学反応と力学的な動きを共役して、化学反応の自由エネルギーと力学的なエネルギーの変換を自律的に行う。我々は、F1-ATPaseという回転分子モーターのエネルギー変換効率が非常に高いことを示してきた。これは、生物の持つ仕組みのすばらしさを示すものであるが、何故そのようなことができるかの理解にはまだ遠い。そこで本研究では、エネルギー変換効率を高く保てる条件、逆に言うと低くなるような条件、を種々の変異体を交えて把握し、そのメカニズムを浮き彫りにする。実験としてはストールトルクの測定、Harada-Sasa等式による解析、回転ポテンシャルの見積などを広い条件で行い、モーター分子の局所的な構造変化からエネルギーの流れが集約されるメカニズムについて考察する。また、自律性の問題を情報熱力学的な観点から考察し、分子モーターの仕組みについての理解を目指す。

新学術領域研究「ゆらぎと構造の協奏:非平衡系における普遍法則の確立」