研究項目

公募研究 A03(2014-2015) 機能班

胃癌細胞の非平衡形状ゆらぎのもたらす時空間秩序と転移の相関

研究代表者

田中 求  TANAKA, Motomu

京都大学 物質-細胞統合システム拠点 教授
URL : http://www.icems.kyoto-u.ac.jp/j/ppl/grp/m-tanaka.html

研究概要

本研究では、悪性上皮性腫瘍である胃腺癌の転移を研究対象として選び、代表田中の確立した"Supported Membrane"という実験手法を駆使して(1)精密にデザインされた細胞膜モデル(2)非侵襲的な細胞接着力計測の新技術(3)細胞形態の動的ゆらぎの統計解析、を有機的に組み合わせて、癌の転移において重要な役割を果たす接着分子(Eカドヘリン)で修飾した精密細胞膜モデルを構築、測定する。癌の転移(機能)と形状揺らぎの相関、特にここでは溶液中のCXCL12濃度が、進行度(転移度)の異なる癌細胞の形状揺らぎと動き(遊走)の時空間パターンに与える影響を明らかにする。実験手法としては当研究室で開発したピコ秒レーザーパルスに誘起された圧力波を用いた新技術による癌細胞が周辺の組織へ転移する際の摩擦計測、当研究室の専門技術である反射干渉顕微鏡による細胞形態の動的ゆらぎのラベルフリー追跡などが含まれる。

連携研究者

鶴山 竜昭 TSURUYAMA, Tatsuaki
京都大学 大学院医学研究科 准教授
図1:反射干渉顕微鏡 (RICM) による生細胞イメージングから得た確率的な動的形状マップから、細胞の時空間パターンを計算した研究の一例。
新学術領域研究「ゆらぎと構造の協奏:非平衡系における普遍法則の確立」