研究項目
公募研究 A04(2014-2015) 融合班
ガラス化における揺らぎの相関構造の発現メカニズムとその輸送異常に果たす役割の解明 |
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研究概要近年、私は過冷却液体の"流体"輸送異常におけるメソスコピック性やその協同運動との関わりについて取り組んできた。一連の研究では、流体輸送そのものが有する時空階層性を明らかにしたが、この成果は4点相関関数を用いた従来の動的不均一性の研究と相補的であったと考えている。流体輸送異常の顕著な空間スケール依存性と付随する協同性は、ガラス化に伴うスローダイナミクスにおいて、なんらかの相関構造の介在が本質的に重要であることを強く示唆しており、次のような重要な問題を提示している。ひとつには"輸送異常、ひいてはスローダイナミクスにおける相関構造の役割は何であるか?"という疑問であり、もうひとつは"相関構造の実体とその発現メカニズムは何であろうか?"というものである。本プロジェクトでは、これらの疑問の解決に向けて取り組む。一般的な枠組みが存在しうるかは明らかでないが、数値的示唆、現象論、モデル解析など、様々な試行錯誤を越えたところに現象の明解な物理描像を得ることを目標としたい。 |
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図:波数依存の粘性係数。過冷却度を増すに従い、粘性輸送の空間相関が増大する。 |